百人一首第一番 天智天皇『秋の田の』を情景と背景から完全解説で、
和歌の世界を旅してみませんか？
百人一首は、日本の歴史や文化を彩る和歌のコレクション。
その第一番を飾るのが、天智天皇の「秋の田の」という和歌です。
この一首では、秋の田んぼ、仮設の小屋、
夜露に濡れる袖の情景が美しく詠み込まれています。
百人一首第一番 天智天皇『秋の田の』を情景と背景から完全解説では、初心者の方にもわかりやすく、和歌の背景や楽しみ方を丁寧に解説していきます。
和歌の魅力をより深く理解するために、和歌と短歌の違いを学べる記事もぜひご覧ください。和歌の形式や表現の違いを学ぶことで、百人一首の味わいがより一層広がります。
また、百人一首の第一番「秋の田の」の和歌と併せて楽しむことで、和歌の歴史や詠まれた背景がより鮮明に感じられます。ぜひ、百人一首第二番の解説もご覧ください。
天智天皇の生涯と百人一首の背景
生涯について
天智天皇 – Wikipedia（626年～672年）は、
飛鳥時代の第38代天皇で、父は舒明天皇、
母は皇極天皇（斉明天皇）です。
中大兄皇子として知られ、
645年に中臣鎌足と共に蘇我氏を討ち、
大化の改新を主導しました。
また668年に即位し、近江大津宮（現在の滋賀県大津市）に都を遷しました。
そして在位中は、戸籍制度の整備や法令の制定など、中央集権国家の基盤を築くための政治改革を推進しました。
歴史的イベント
天智天皇は、645年の乙巳の変で
蘇我氏を滅ぼし、大化の改新を主導しました。
668年に即位し、近江大津宮に遷都しました。
また在位中は、戸籍制度の整備や法令の制定など、中央集権国家の基盤を築くための政治改革を推進しました。
他の歌について
万葉集の巻一・第14番歌
「香具山と耳成山とあひし時立ちて見に来し印南国原」は、
天智天皇が詠んだとされる反歌です。
この歌では、香具山と耳成山が争った際、
何者かが印南国原（現在の兵庫県加古川市・明石市周辺）
まで見に来たと詠まれています。
またこの「何者か」については、
播磨国風土記に登場する阿菩大神（あぼのおおかみ）を
指すと考えられています。
この歌は、長歌「香具山は 畝傍ををしと 耳成と 相争ひき 神代より かくなるらし 古も しかなれこそ 現身も 妻を 争ふらしき」の反歌として詠まれました。
このように、万葉集には自然や神話を題材にした歌が多く収められており、当時の人々の信仰や自然観を知る手がかりとなります。
百人一首における位置付け
天智天皇の和歌「秋の田の」は、
百人一首の冒頭を飾る一首で、
稲刈りの季節に庵での質素な生活を詠んでいます。
また天皇という高貴な身分が自然や
農村の情景を歌うことで、
和歌の中に普遍的な感情と調和を象徴しています。
天智天皇がなぜこの和歌を詠んだのか？
百人一首第一番 天智天皇『秋の田の』を情景と背景から完全解説では、天智天皇がなぜこの和歌を詠んだのか？についてポイントを３つに分けてみました。
- 民の暮らしを思いやる気持ち
- 日本の風土を詠む意識
- 統治者としての謙虚な姿勢
民の暮らしを思いやる気持ち
天智天皇は、農民の生活に寄り添い、
彼らの労苦を和歌に詠むことで、
共感を示しました。
またこの歌は、天皇が秋の田で働く
人々の姿に思いを馳せ、
自然の厳しさや収穫の大切さを
伝えたものと考えられます。
日本の風土を詠む意識
日本の四季の移ろいを表現することは、
和歌の伝統の一つです。
この歌では、秋の田での生活が克明に描かれ、
古来より人々が自然と共生してきた
様子が伝わります。
統治者としての謙虚な姿勢
天智天皇は、国を治める者として、
自らを特別な存在とせず、
民と同じ目線で自然や生活を詠んでいます。
またこの歌には、統治者としての謙虚な姿勢と、
民との一体感を大切にする精神が表れています。
天智天皇は、政治改革を行いながら、文化面でも多くの功績を残しました。
この和歌では、天皇が詠んだものとして伝えられていますが、実際には庶民の暮らしに根ざした情景を詠んだものであり、民への思いやりが感じられます。
読み方と句意
百人一首 一番 天智天皇
歌：秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
読み：あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ
句意：この歌では、秋の田んぼに建てた仮設の小屋の屋根が粗末で、夜露が入り、袖が濡れる様子を詠んでいます。
次の百人一首第二番では、天智天皇の娘である持統天皇の和歌が収められています。父である天智天皇の歌と並んで選ばれた背景を知ることで、当時の政治や家族関係にも思いを馳せることができます。ぜひ、次の歌も併せてご覧ください。
この和歌の楽しみ方
百人一首第一番 天智天皇『秋の田の』を情景と背景から完全解説では、この和歌の楽しみ方のポイントをこの３つに分けてみました。
- 情景を思い浮かべる
- 音読して味わう
- 背景を知る
情景を思い浮かべる
稲穂が揺れる田園風景や
仮庵を想像して楽しみます。
また和歌の情景を目に浮かべると、
秋の田園風景が鮮やかに感じられます。
音読して味わう
五七五七七のリズムを感じながら、
和歌の響きを楽しみます。
また和歌を音読することで、
リズム感と古典の美しさを
堪能できます。
背景を知る
天智天皇の農業重視の思想や、
当時の暮らしを理解します。
また歴史的背景を知ることで、
和歌の深みをさらに味わえます。
百人一首第一番『秋の田の』の情景と解説
上の句（5-7-5）
秋の田園風景が詠まれた部分で、
収穫期の農民の労苦と自然の調和を
感じさせます。
五音句の情景と意味 「秋の田の」
「秋の田の」という冒頭の句では、秋の田園風景を描写しています。具体的には、収穫期の秋に黄金色に染まった稲穂が風に揺れる様子が豊穣の象徴として表現されています。
七音句の情景と意味 「かりほの庵の」
「かりほの庵の」では、収穫された稲を保管するための仮設の小屋を指します。この句では、簡素な仮設の住まいが登場し、農民たちが収穫のために一時的に暮らしていた様子が描かれています。
五音句の情景と意味 「苫をあらみ」
「苫をあらみ」では、仮小屋の屋根が粗末で隙間がある様子を描写しています。この粗末な屋根が、雨風を防ぐのには不十分であることを示し、自然の厳しさとそれに耐える人々の生活が感じられます。
下の句（7-7）分析
仮庵の厳しい環境を描きつつ、
自然との共生を示しています。
七音句の情景と意味 「わが衣手」
「わが衣手」では、詠み手自身の袖を指し、秋の夜露で濡れる様子を表現しています。このように、露が降りる涼しい秋の夜に袖が冷たく湿る情景が目に浮かびます。
七音句の情景と意味 「露にぬれつつ」
「露にぬれつつ」では、秋の夜露に濡れる袖を描き、自然の中での人間の存在感や儚さを強調しています。また袖の冷たさを通じて人間の小ささと自然の偉大さが感じられます。
和歌全体の情景
この和歌全体では、仮の庵で寝泊まりしながら稲刈りをする農民の様子が描かれ、彼らの厳しい生活が伝わってきます。また粗末な苫（とま）の庵は隙間が多く、夜露が染み込み、袖が濡れるほどの寒さを感じさせます。そしてこの素朴な情景には、天智天皇が農民の暮らしに心を寄せ、彼らの労苦を詠んだとされる深い思いが込められています。
まとめ
天智天皇の「秋の田の」は、
農業の大切さや自然との調和を
詠み込んだ一首です。
この和歌を通じて、平安時代の田園風景や、人々の暮らしに触れることができます。
百人一首第一番 天智天皇『秋の田の』を情景と背景から完全解説を百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。
