百人一首第二十番 元良親王『わびぬれば』を情景と背景から完全解説で、
和歌の世界を旅してみませんか?
百人一首には、平安時代の繊細な感情や
人間模様が美しい和歌として詰め込まれています。
その中で第二十番の元良親王の「わびぬれば」は、
恋の苦しみに耐え抜き、すべてを捧げても逢いたい
という切実な思いが詠まれています。
今回ご紹介するのは、第二十番『わびぬれば』。難波の地名を巧みに掛詞として用い、澪標に自身を重ねることで恋の覚悟を象徴するこの一首を通じて、平安時代の恋愛観と情景美を感じてみませんか?

百人一首第二十番 元良親王『わびぬれば』を情景と背景から完全解説では、初心者の方にもわかりやすく、和歌の背景や楽しみ方を丁寧に解説していきます。
和歌の魅力をより深く理解するために、和歌と短歌の違いを学べる記事もぜひご覧ください。和歌の形式や表現の違いを学ぶことで、百人一首の味わいがより一層広がります。
また、百人一首の流れを追って楽しむことで、和歌の歴史や背景がより深く感じられます。前の歌をまだご覧になっていない方は、ぜひ百人一首第十九番 伊勢『難波潟』の記事も併せてご覧ください。
元良親王の生涯と百人一首の背景
生涯について


元良親王 – Wikipedia(872~939年)は、
光孝天皇の皇子で、平安時代中期の貴族です。
文学や和歌に優れ、『古今和歌集』などの
勅撰和歌集に作品が収められました。
親王は宮廷での役職に就きながらも、
恋愛や人間関係を題材とした和歌を多く詠み、
その繊細な感性が評価されています。

また百人一首に選ばれた「わびぬれば」は、彼の恋愛観と感情表現の卓越さを伝える代表的な作品です。
歴史的イベント
元良親王が活躍した平安時代中期は、
『古今和歌集』が編纂され、和歌が宮廷文化の
中心となった時代でした。
彼の作品は『古今和歌集』に収録され、
和歌の才能が高く評価されていました。

また、光孝天皇の皇子として、天皇崩御後の政治的動きや宮廷内での役割が重要であったと考えられます。

そしてこの時期、恋愛や人間関係が和歌の主要テーマとなり、元良親王の感情豊かな作品もその文化を象徴しています。
他の歌について
元良親王は、『後撰和歌集』をはじめ
勅撰集に計20首が収録され、
恋愛や自然を題材にした歌が多く伝えられています。
特に「世にあればありと言ふことを きくの花 なほすきぬべき 心地こそすれ」は、
菊を長寿の象徴としつつ、恋い慕う心情を巧みに
重ねた作品として知られています。

また、『元良親王集』には歌物語風の作品が収められており、和歌を通じた恋愛や感情表現の豊かさが評価されています。
百人一首における位置付け
百人一首 第二十番の元良親王「わびぬれば」は、
恋の苦悩と覚悟を詠んだ一首です。
そして「みをつくしても」という掛詞が、
恋に全てを捧げる覚悟を象徴し、
平安時代の恋愛観と情緒を体現する重要な歌とされています。
元良親王がなぜこの和歌を詠んだのか?
百人一首第二十番 元良親王『わびぬれば』を情景と背景から完全解説では、元良親王がなぜこの和歌を詠んだのか?についてポイントを3つに分けてみました。
- 恋愛の苦悩を表現するため
- 覚悟と献身を示すため
- 平安時代の恋愛観を反映するため
恋愛の苦悩を表現するため
恋に悩み、絶望的な感情に至った
心情を表現しています。
また恋の苦しさを「わびぬれば」という
言葉で的確に描写し、
その深い感情を読者に伝えています。
覚悟と献身を示すため
「みをつくしても」という掛詞を用い、
すべてを犠牲にしてでも恋人に逢いたいという
強い意志を示しています。
これにより、恋の真剣さと覚悟を強調しています。
平安時代の恋愛観を反映するため
人目を避けながら恋をする
当時の風習が背景にあります。
この和歌は、恋愛の制約や葛藤を詠み込むことで、
平安時代の恋愛観を象徴的に描いています。

元良親王の「わびぬれば」では、恋に悩む心情と、それでも相手に逢いたいという覚悟を詠むことで、恋愛の切実さを際立たせています。

また「みをつくしても」という表現は、恋の犠牲や覚悟を象徴し、同時に自然描写を用いた掛詞の技巧を示しています。
この和歌は、平安時代の恋愛の儚さや情熱を今に伝える貴重な作品です。
読み方と句意


百人一首 元良親王
歌:わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
読み:わびぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ
句意:恋に悩み苦しみながらも、すべてを犠牲にしてでも恋人に逢いたいという強い覚悟を詠んだ歌。
この和歌の楽しみ方
百人一首第二十番 元良親王『わびぬれば』を情景と背景から完全解説では、この和歌の楽しみ方のポイントをこの3つに分けてみました。
- 掛詞の技巧を楽しむ
- 感情の深さを感じる
- 平安時代の恋愛観を知る
掛詞の技巧を楽しむ
「みをつくしても」は、
澪標(みおつくし)と
「身を尽くす」を掛けた表現で、
自然と感情を巧みに重ねています。
この掛詞は、航路を示す澪標が恋愛の行く先を象徴し、同時に恋に身を捧げる覚悟を表現しています。またこの技巧を理解しながら読むことで、作者の感性や言葉選びの巧みさを味わうことができます。
感情の深さを感じる
恋愛の苦悩や覚悟といった
深い感情が詠まれており、
読み手の心に強く訴えかけます。
「わびぬれば」と始まるこの歌は、恋に悩む心情を的確に表現しています。またこの深い感情を想像しながら読むことで、平安時代の人々が持つ恋愛観や心理状態をより身近に感じることができます。
平安時代の恋愛観を知る
この和歌は、恋愛に対する制約や
情熱を反映しており、当時の宮廷文化や
価値観を知るきっかけになります。
平安時代の恋愛は、人目を避けながら行うもので、直接的な表現よりも間接的な言葉で感情を伝えるのが一般的でした。また和歌を通じて、当時の人々がどのように恋愛を捉え、表現していたのかを知ることで、歴史的背景を学ぶ楽しみも広がります。
百人一首第二十番『わびぬれば』の情景と解説
上の句(5-7-5)
上の句「わびぬれば 今はたおなじ 難波なる」では、
恋の苦しみと覚悟が静かに描かれています。
五音句の情景と意味 「わびぬれば」


「わびぬれば」では、恋に悩み、辛さに耐えられない状況を描いています。また心が行き詰まり、絶望的な感情が溢れています。
七音句の情景と意味 「今はたおなじ」


「今はたおなじ」では、どんな選択をしても同じ結果になると諦めた心情が滲み出ており、覚悟と虚しさを感じさせます。
五音句の情景と意味 「難波なる」


「難波なる」では、難波の地名に「なには(何も)」を掛けて、恋の空虚さや行き場のない気持ちを象徴的に表現しています。
下の句(7-7)分析
下の句「みをつくしても 逢はむとぞ思ふ」では、
恋に身を捧げる覚悟と、
それでも恋人に逢いたいという
切実な願いを詠んでいます。
七音句の情景と意味 「みをつくしても」


「みをつくしても」では、澪標と身を尽くす覚悟を掛け合わせ、恋のために全てを犠牲にする強い意志を象徴しています。
七音句の情景と意味 「逢はむとぞ思ふ」


「逢はむとぞ思ふ」では、恋人に逢うことをひたすら願い、絶望の中でも希望を捨てない切実な思いが込められています。
和歌全体の情景


和歌全体では、夕暮れの難波湾が静かに広がり、澪標が水面に立つ中、恋に悩む人の姿が浮かびます。また恋の苦悩に身を焦がし、すべてを捧げても逢いたいという切実な思いが風景と重なり、深い情感を醸し出します。そして澪標は航路を示しつつ、恋の行方を暗示し、自然と感情が調和した情景が描かれています。
まとめ
元良親王の「わびぬれば」は、
恋の苦悩と覚悟を詠んだ
平安和歌の傑作です。

恋の苦しさと、それでも逢いたいという切実な願いが静かな情景に溶け込み、時代を超えて読む人の心に響く一首です。

百人一首第二十番 元良親王『わびぬれば』を情景と背景から完全解説を百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。