百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説

百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」の情景をテーマにしたイメージの画像 百人一首

百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説で、

和歌の世界を旅してみませんか?

古今和歌集にも名を連ねる凡河内躬恒の歌は、

自然の情景と繊細な心情を巧みに織り交ぜています。

今回ご紹介するのは、第二十九番『心あてに』。朝霜が降りた庭先に佇み、白菊と霜の見分けがつかないほどの美しい情景が広がります。

紫式部
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百人一首第二十九番 凡河内躬恒おおしこうち の みつね『心あてに』を情景と背景から完全解説では、初心者の方にもわかりやすく、和歌の背景や楽しみ方を丁寧に解説していきます。

小野小町
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果たして、作者の思いはどこにあるのでしょうか? この歌に込められた深い意味を探りながら、平安時代の風雅な世界へご案内します。

和歌の魅力をより深く理解するために、和歌と短歌の違いを学べる記事もぜひご覧ください。和歌の形式や表現の違いを学ぶことで、百人一首の味わいがより一層広がります。

また、百人一首の流れを追って楽しむことで、和歌の歴史や背景がより深く感じられます。前の歌をまだご覧になっていない方は、ぜひ百人一首第二十八番 源宗于みなもと の むねゆき『山里は』の記事も併せてご覧ください。

生涯について

百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「凡河内躬恒」の肖像画
写真:パブリックドメイン(提供元:Wikipedia)
百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」の情景をテーマにした和歌の画像

凡河内躬恒おおしこうち の みつね – Wikipedia(生年不詳)は、

平安時代前期の歌人・官人です。

凡河内氏の出身で、

三十六歌仙の一人に数えられています。

紫式部
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『古今和歌集』の撰者の一人としても知られ、宮廷歌人として活躍しました。また官位は五位・和泉大掾にまで昇進しました。

歴史的イベント

凡河内躬恒おおしこうち の みつねは、

『古今和歌集』の撰者の一人として、

紀貫之き の つらゆき壬生忠岑みぶ の ただみねらとともに編纂に関わりました。

これは日本最初の勅撰和歌集であり、

和歌の形式や表現を大きく発展させる契機となりました。

紫式部
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また、彼は宮廷歌人として多くの歌合(うたあわせ)に参加し、優れた和歌を詠みました。

小野小町
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特に、繊細な自然描写や情感豊かな表現が特徴であり、後の和歌にも大きな影響を与えました。

他の歌について

凡河内躬恒おおしこうち の みつねの和歌は、視覚だけでなく嗅覚や

感覚を巧みに用いた表現が特徴です。

たとえば、『古今和歌集』に収められた

春の夜の 闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる」では、

春の夜の闇の中で梅の花の姿は見えないものの、

その香りが漂い、確かに存在を感じさせることを詠んでいます。

紫式部
紫式部

この歌は、視覚情報がなくとも、他の感覚によって情景や心情を表現できることを示しており、凡河内躬恒おおしこうち の みつねの繊細な感性が光る一首です。

凡河内躬恒おおしこうち の みつねの「心あてに」は、百人一首の中でも

繊細な自然観察と和歌の技巧が際立つ一首です。

初霜と白菊を巧みに重ね、視覚の曖昧さを詠むことで、

美しさと儚さを表現しています。

そして視覚的な錯覚を詠んだ点で、

百人一首の中でも印象深い一首となっています。

凡河内躬恒がなぜこの和歌を詠んだのか?

百人一首第二十九番 凡河内躬恒おおしこうち の みつね『心あてに』を情景と背景から完全解説では、凡河内躬恒おおしこうち の みつねがなぜこの和歌を詠んだのか?についてポイントを3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 初霜と白菊の視覚的な曖昧さを詠む
  • 直感的な発見と詠嘆を表現
  • 和歌の技巧を活かした表現

初霜と白菊の視覚的な曖昧さを詠む

凡河内躬恒おおしこうち の みつねは、朝の庭に広がる初霜と

白菊が見分けがつかない様子を詠みました。

また霜が白菊の花と見間違うほどに

降り積もる情景を捉え、

目の錯覚を和歌の題材とすることで、

自然の美しさと儚さを表現しています。

直感的な発見と詠嘆を表現

「心あてに」とは、「あてずっぽうに」という意味を持ちます。

また視覚に頼らず、霜の下にある白菊を折ろうとする行為は、

直感的な行動と自然への驚きを詠んだものです。

そして見えないものを感じ取る繊細な感性が、

この和歌には込められています。

和歌の技巧を活かした表現

この和歌は、視覚の不確かさをテーマにしながら、

「折らばや折らむ(折ることができるだろうか)」

という問いかけの形をとっています。

また読者に想像の余白を与えることで、

和歌としての美しさを際立たせ、

古今和歌集の技巧的な一首として評価されています。

紫式部
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この和歌は、自然を鋭く観察し、その儚さを詠む点で特徴的です。この一首では、初霜と白菊が交錯する幻想的な風景を描き、視覚の曖昧さを巧みに表現しています。

小野小町
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このような表現は、平安時代の貴族文化における繊細な感覚を反映し、今日でも多くの人の心を魅了しています。

単に美しい風景を詠むだけでなく、「目に見えないものを感じ取る感性」も表現されており、和歌の奥深さを楽しめる一首です。

読み方と句意

百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」の情景をテーマにした和歌とイメージの画像
百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」の情景をテーマにした和歌の画像

百人一首 二十九番 凡河内躬恒おおしこうち の みつね

歌:心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花

読み:こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

句意:初霜が白菊に降り積もり、見分けがつかない。あてずっぽうに折れば、本当に白菊を摘むことができるだろうかと詠んでいます。

この和歌の楽しみ方

百人一首第二十九番 凡河内躬恒おおしこうち の みつね『心あてに』を情景と背景から完全解説では、この和歌の楽しみ方のポイントをこの3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 霜と菊の幻想的な情景を味わう
  • 「心あてに」の心の揺らぎを感じる
  • 隠された恋の比喩を読み解く

霜と菊の幻想的な情景を味わう

初霜が白菊に降り積もり、

まるで花そのものが霜に包まれたように

見える美しい情景が描かれています。

秋の冷え込みが増す朝の静けさと、自然が作り出す幻想的な風景を想像しながら読むと、和歌の世界がより深く感じられます。

「心あてに」の心の揺らぎを感じる

「心あてに」は「当てずっぽうに」という意味ですが、

ここには躊躇いや迷いのニュアンスも含まれています。

白菊を見分けられない状況の中で、思い切って折ってみようとする様子には、恋の駆け引きにも通じる微妙な感情が込められています。

隠された恋の比喩を読み解く

この歌は、霜と菊の情景を通じて、

恋の気持ちを表しているとも解釈できます。

好きな人の本心が分からず迷いながらも、

思い切って気持ちを伝えようとする

心情が隠されているのです。

自然描写の中に、繊細な恋の心理が込められている点に注目すると、より一層楽しめます。

百人一首第二十九番『心あてに』の情景と解説

上の句「心あてに 折らばや折らむ 初霜の」では、

和歌の前半では、白菊の花に降りた初霜が、

まるで花びらと見分けがつかないほどに

溶け合う幻想的な情景が描かれています。

五音句の情景と意味 「心あてに」

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「心あてに」では、手探りで物事を試みることを指します。また確信が持てないまま、直感を頼りに菊を折ろうとする心情が表現されています。

七音句の情景と意味 「折らばや折らむ」

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「折らばや折らむ」では、実際に折って確かめてみようという意志を示す表現です。また霜か花か分からないが、とにかく手に取ってみたいという心の動きが感じられます。

五音句の情景と意味 「初霜の」

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「初霜の」では、秋の終わりから冬の訪れを象徴する季語です。また冷たい霜が白菊に降りて、花と霜が一体となる美しい朝の風景を想像させます。

下の句(7-7)分析

下の句「置きまどはせる 白菊の花」では、

白菊に降りた初霜が、

まるで花の一部のように見え、

見分けがつかなくなっている情景が

描かれています。

七音句の情景と意味「置きまどはせる」

百人一首第二十九番 凡河内躬恒『心あてに』を情景と背景から完全解説「心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花」の情景をテーマにしたイメージの画像
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「置きまどはせる」では、霜が降りて白菊と見分けがつかなくなることを表します。またどちらが花でどちらが霜なのか、判別がつかない不思議な情景を生み出しています。

七音句の情景と意味「白菊の花」

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「白菊の花」では、秋の終わりから冬にかけて咲く純白の菊を指します。また霜と同じ色で、清らかで儚げな美しさがあり、和歌全体に気品ある雰囲気を与えています。

和歌全体の情景

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和歌全体では、庭や野に咲く白菊に、夜のうちに降りた初霜が積もり、どちらが花でどちらが霜なのか判別がつかない幻想的な光景が広がります。また作者は「心あてに」、つまりあてずっぽうに白菊を折ろうとするものの、霜と見分けがつかず戸惑っています。そしてこの迷いは、恋における心の揺らぎにも通じ、白菊と霜が象徴的に用いられています。

まとめ

この和歌は、白菊の花と初霜が見分けが

つかない幻想的な光景を通じて、

恋の迷いや揺らぐ心を表現しています。

また凡河内躬恒おおしこうち の みつねの繊細な感性が際立ち、

自然美と恋愛感情が巧みに

織り交ぜられた秀逸な一首です。

紫式部
紫式部

視覚的な美しさと深い感情の余韻を楽しめる、百人一首の中でも味わい深い作品の一つといえるでしょう。

小野小町
小野小町

百人一首第二十九番 凡河内躬恒おおしこうち の みつね『心あてに』を情景と背景から完全解説を百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。

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