🌸今週も、月は俳句・火は偉人・水は俳句・木は百人一首・金は短歌をお届けします🌿

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像 百人一首

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』で、

和歌の世界を旅してみませんか?

風が吹き抜け、山の紅葉が川に舞い落ちる。

その情景をまるで織物のように美しく詠んだのが、

能因法師のういんほうしの一首です。

紫式部
紫式部

自然の力と美しさが交差する瞬間を、「錦なりけり」という結句に託した見事な感性

小野小町
小野小町

今回は、秋の彩りと風の余韻が響くこの和歌を、丁寧に読み解いていきます。

和歌の魅力をより深く理解するために、和歌と短歌の違いを学べる記事もぜひご覧ください。また和歌の形式や表現の違いを学ぶことで、百人一首の味わいがより一層広がります。

百人一首の流れを追って楽しむことで、和歌の歴史や背景がより深く感じられます。そして前の歌をまだご覧になっていない方は、ぜひ百人一首第68番 三条天皇さんじょうてんのう『心にも』記事も併せてご覧ください。

生涯について

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「能因法師」の肖像画
写真:パブリックドメイン(提供元:Wikipedia)
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

能因法師のういんほうし Wikipedia(988年頃~1050年以降)は、

平安中期の歌僧で、俗名は橘永愷たちばな の ながやす

官職を辞して出家し、

諸国を巡りながら多くの和歌を詠みました。

風景詠を得意とし、

自然との一体感を描く歌が高く評価されています。

紫式部
紫式部

また『後拾遺和歌集』などに入集し、能因流と呼ばれる歌風を確立。

小野小町
小野小町

そして百人一首には、秋の風と紅葉の美を鮮やかにとらえた一首が選ばれています。

歴史的イベント

能因法師のういんほうしは出家後、

各地を巡りながら風景を詠み、

自然と感情が溶け合う独自の詠風「能因流」

確立しました。

紫式部
紫式部

中でも三室山や竜田川といった名所を訪ね、風・水・紅葉など移ろう自然の姿を繊細にとらえた歌を多く残しています。

小野小町
小野小町

「嵐吹く」の一首はその代表作で、動きのある情景と視覚的な美を融合させた構成力は、後の歌人にも大きな影響を与えました。

他の歌について

能因法師のういんほうしは『後拾遺和歌集』に、

わがやどの梢の夏になるときは生駒の山ぞ見えずなりぬる

という歌を残しています。

この歌では、庭の木々が生い茂る夏になると、

生駒山が見えなくなるという

日常の小さな変化を通じて季節の移ろいが詠まれています。

能因法師のういんほうしは、このように身近な風景を繊細に観察し、

情緒とともに描き出す歌風で知られました。

紫式部
紫式部

「嵐吹く」がダイナミックな自然描写だとすれば、この一首は静かな詩情と写実の美を感じさせるもの。

小野小町
小野小町

能因の詠風は、動と静のバランスに優れた表現力を持っていたことがわかります。

自然の動きと色彩の美を巧みに融合させた一首で、

叙景詩としての完成度の高さが際立ちます。

百人一首では、

秋の風景を視覚的かつ詩的に表現した代表的作品

として親しまれています。

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能因法師がなぜこの和歌を詠んだのか?

百人一首第69番 能因法師のういんほうし『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべでは、能因法師がなぜこの和歌を詠んだのか?についてポイントを3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 風景の移ろいを描きたかった
  • 名所と季節感を融合
  • 自然を織物になぞらえる発想

風景の移ろいを描きたかった

嵐が吹くことで紅葉が舞い、川に散る。

自然の変化そのものを美しく切り取る視点が、

能因の詠風に表れています。

名所と季節感を融合

三室山と竜田川という秋の名所をつなぎ、

地名と季節を生かした歌枕的構成で、

風景の重層感を際立たせています。

自然を織物になぞらえる発想

もみじが川面を彩る様子を「錦」と表現。

色と動きが重なる情景を、美的な比喩

として巧みに表現しています。

紫式部
紫式部

この和歌では、能因法師のういんほうしが旅のなかで見た風景を、詩情豊かに再構成した一首です。

小野小町
小野小町

また三室山から吹く嵐が紅葉を散らし、それが竜田川を錦のように染めていく――自然の力と美しさが織りなす、ダイナミックで繊細な秋の情景が浮かびます。

単なる風景描写にとどまらず、色彩・動き・土地の名を一体化させた構成美が光る作品です。

読み方と句意

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌とイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

百人一首第69番 能因|能因法師のういん|のういんほうし ※百人一首では能因法師

歌:嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり

読み:あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり

句意:この和歌では、嵐に吹かれて散った三室山の紅葉が、竜田川に流れ落ちて、まるで錦のように美しく彩られている様子が詠まれています。

「紅葉のしらべ」――いまの私たちなら、どう感じるのだろう?

ふと風に舞う葉を見て、季節の移ろいを感じるとき。目の前の風景が心にそっと音を立てるように、紅葉のしらべは、私たちの感情にも静かに響いてきます。

3つのポイント
  • 心のざわめきを映す風
  • 美しさは一瞬で変わる
  • 自然がくれる静かな時間

心のざわめきを映す風

紅葉を揺らす風を見て、

自分の内側までそっと

揺さぶられることがあります。

また自然の音や色に、

自分の感情が重なって響くとき、

私たちは外の景色を「見る」のではなく

「感じている」のでしょう。

そしてその感覚こそが、

「紅葉のしらべ」に通じるものです。

風が吹くたびに、心がざわりと揺れることがある。自然の動きに、自分の気持ちが重なる瞬間です。

美しさは一瞬で変わる

見上げた紅葉が散るとき、

まるで一枚の絵がほどけていくような

切なさがあります。

またその一瞬のうつくしさに心を奪われるのは、

「永遠ではない」ことを

知っている私たちだからこそ

そして能因法師のういんほうしの和歌も、そんな一瞬の美を

見逃さずに詠みとめたのかもしれません。

色づいた紅葉も、風ひとつで散ってしまう。その儚さが、だからこそ美しいと感じさせてくれます。

自然がくれる静かな時間

自然の中に身をゆだねると、

思考がゆっくりになっていく感覚があります。

流れる川、揺れる葉、冷たい風。

またそのすべてが、

言葉ではない音楽のように心を整えてくれるのです。

そして紅葉のしらべは、

私たちに「立ち止まる」ことを

そっと許してくれる音かもしれません。

風景の中に身を置くと、忙しさや悩みが少しだけ遠ざかる。紅葉のしらべは、心を整える音でもあります。

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』の楽しみ方

百人一首第69番 能因法師のういんほうし『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべでは、この和歌の楽しみ方のポイントをこの3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 風と色の動きを感じる
  • 地名の詩的効果を味わう
  • 錦という比喩の巧みさを味わう

風と色の動きを感じる

この和歌は、単に紅葉の美しさを

詠んだのではなく、

風が吹き、葉が舞い落ち、川に流れるという

動きのある時間の流れを描いています。

また読むだけでその風景が目に浮かび、

そして耳に風の音が届くような、

視覚・聴覚をともに刺激する表現が魅力です。

嵐が吹き、紅葉が散り、川へと流れていく。一首の中に自然のダイナミズムが描かれています。

地名の詩的効果を味わう

三室山や竜田川は、

古くから紅葉の名所として知られていました。

またそれらを歌に取り入れることで、

秋の風景が伝統的な美意識とつながるのです。

そして歌枕としての地名がもつ詩的な響きと、

情景の具体性が合わさることで、

この一首はより印象的に心に残ります。

「三室の山」「竜田の川」という名所を用いたことで、歌全体に雅やかな情景と歴史的深みが生まれています。

錦という比喩の巧みさを味わう

もみじ葉が川面に広がる様子を

「錦」と表現したのは、

色彩の美しさだけでなく、

自然を芸術として見る心があったからこそ。

また能因法師のういんほうしのこの比喩は、

紅葉の赤や黄が織物のように重なり合う光景を、

たった一言で印象づける名表現として、

多くの人の記憶に残っています。

紅葉が川を彩る様子を「錦」とした表現に、視覚美と言葉のセンスが凝縮されています。

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説

上の句「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は」では、

山に吹き荒れる風によって紅葉が散り始める様子を、

生き生きと描いた導入句です。

また風に揺れ、舞い落ちていく紅葉に、

秋の激しさと華やかさが同時に感じられます。

そして自然の動きと色彩の瞬間美が浮かびます。

五音句の情景と意味「嵐吹く」

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

「嵐吹く」では、山に激しく吹きつける秋の風。また季節の変わり目を告げる、力強い自然の息吹を感じさせます。

七音句の情景と意味「三室の山の」

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

「三室の山の」では、紅葉の名所として知られる三室山。また古来の風情と色づく山の気配が、荘厳に立ち上がります。

五音句の情景と意味「もみぢ葉は」

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

「もみぢ葉は」では、色とりどりに染まった木の葉が、風に揺れ、やがて空へと舞い立つ直前の静けさを映しています。

下の句(7-7)分析

下の句「竜田の川の 錦なりけり」では、

山から吹き下ろされた紅葉が川面を覆い、

まるで織物のような模様を

描いている様子を詠んでいます。

自然の美しさを視覚的・詩的に捉えた名句で、

秋の絢爛たる情景が一気に広がります。

七音句の情景と意味「竜田の川の」

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

「竜田の川の」では、秋になると紅葉が流れ込む名所・竜田川。また川面を彩る季節の風物詩が静かに描かれています。

七音句の情景と意味「錦なりけり」

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

「錦なりけり」では、色とりどりの紅葉が水面を染めて、まるで織りなされた絹の錦のように輝く様子を比喩的に表現しています。

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』和歌全体の情景

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌とイメージの画像
百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべ「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」の情景をテーマにした和歌の画像

嵐が吹きすさぶ三室山から、色づいたもみじが風に舞い、竜田川へと流れ落ちていく。またその川面は紅葉で覆われ、まるで錦のような華やかさに染まっています。自然が織りなす一瞬の芸術を、鮮やかな色彩と動きで描いた、秋の風景詠です。

百人一首第69番 能因法師『嵐吹く』まとめ

この和歌は、秋の嵐によって

舞い落ちた紅葉が竜田川を彩り、

まるで錦のように美しく流れる情景

詠んだ一首です。

また自然の動きと色彩を一体化させた表現は、

能因法師のういんほうしならではの繊細な感性と観察眼の賜物。

「錦なりけり」という結句に、

風・葉・水・光がひとつになった瞬間の美が

凝縮されています。

紫式部
紫式部

季節の移ろいを視覚で味わう楽しさが詰まった、秋の風物詩のような一首です。

小野小町
小野小町

百人一首第69番 能因法師のういんほうし『嵐吹く』背景解説–紅葉のしらべを百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。

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