百人一首第七番 阿倍仲麻呂『天の原』を情景と背景から完全解説で、
和歌の世界を旅してみませんか?
百人一首は、自然や人々の心情を
詠み込んだ和歌の宝庫です。
また遠く異国の地から広がる夜空を見上げ、
奈良の三笠山から昇った月と
重ね合わせる切ない想いが、
深い感動を呼び起こします。
第七番に収められている阿倍仲麻呂の「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」は、故郷を想う望郷の念が詩情豊かに詠まれた一首です。

百人一首第七番 阿倍仲麻呂『天の原』を情景と背景から完全解説では、初心者の方にもわかりやすく、和歌の背景や楽しみ方を丁寧に解説していきます。

今回はこの和歌の情景と背景を詳しく解説し、その魅力をひも解いていきます。そして一緒に詩情の世界を旅しましょう!
和歌の魅力をより深く理解するために、和歌と短歌の違いを学べる記事もぜひご覧ください。和歌の形式や表現の違いを学ぶことで、百人一首の味わいがより一層広がります。
また、百人一首の流れを追って楽しむことで、和歌の歴史や背景がより深く感じられます。前の歌をまだご覧になっていない方は、ぜひ百人一首第六番 大伴家持『鵲の』の記事も併せてご覧ください。
阿倍仲麻呂の生涯と百人一首の背景
生涯について


阿倍仲麻呂 – Wikipedia(698年~770年)は
奈良時代の学者で、
遣唐使として中国・唐に渡り、
その地で高い評価を受けた人物です。

また唐では「晁衡(ちょうこう)」の名で親しまれ、政治や文化に貢献しました。

そして日本に帰国する望みは叶わず、異国の地で一生を終えましたが、その望郷の念が多くの和歌に反映されています。
歴史的イベント
阿倍仲麻呂は、
奈良時代に遣唐使として唐に派遣され、
玄宗皇帝の信任を得て高官に
昇進しました。
また彼が活躍した唐は、
文化や政治が最盛期を迎えた時代で、
日本との交流も盛んでした。

そして彼は帰国を望むも叶わず、異国の地でその生涯を終えました。

この歴史的背景が、故郷を想う望郷の和歌を生み出す要因となりました。
他の歌について
阿倍仲麻呂の代表的な歌には、
「天の原」がありますが、
他にも望郷の念や異国での孤独を
詠んだ歌が伝わっています。

特に唐での彼の活動と心情が反映された詩は、日本と唐の文化的つながりを象徴するものとして後世に語り継がれています。

そして、その繊細な心情表現が多くの人々に感動を与えています。
百人一首における位置付け
阿倍仲麻呂の「天の原」は、
百人一首の第七番に収められています。
望郷の念を詠んだこの歌は、
故郷への深い愛情と
異国での孤独を象徴し、
多くの人々に共感を与える名歌です。
阿倍仲麻呂がなぜこの和歌を詠んだのか?
百人一首第七番 阿倍仲麻呂『天の原』を情景と背景から完全解説では、阿倍仲麻呂がなぜこの和歌を詠んだのか?についてポイントを3つに分けてみました。
- 故郷への望郷の念
- 月を媒介とした故郷とのつながり
- 永遠性を持つ自然の象徴
故郷への望郷の念
異国の地・唐で故郷奈良を想い、
月を見て懐かしさと切なさを
詠みました。
月を媒介とした故郷とのつながり
夜空に浮かぶ月を、
故郷で見た月と重ね、
心の中で故郷とつながる思いを
表現しています。
永遠性を持つ自然の象徴
月という変わらない自然を通じて、
時空を超えた普遍的な感情を
詠んでいます。

この和歌では、唐で暮らす阿倍仲麻呂が、故郷奈良を想う望郷の念を詠んだものです。夜空に輝く月を見上げることで、異国と故郷をつなぐ思いを表現しています。

特に、月という普遍的な自然を通じて、遠く離れた地にいても同じ月を見ているという感覚が、詠み人の孤独や切なさを和らげる要素となっています。
この歌は、自然を媒介に人々の心情を深く描き出した名歌として評価されています。
読み方と句意


百人一首 七番 阿倍仲麻呂
歌:天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも
読み:あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも
句意:この歌では、広がる夜空の月を見上げ、故郷奈良の三笠山で見た月と重ね合わせ、望郷の念に駆られる情景を詠んでいます。
この和歌の楽しみ方
百人一首第七番 阿倍仲麻呂『天の原』を情景と背景から完全解説では、この和歌の楽しみ方のポイントをこの3つに分けてみました。
- 月の象徴性を味わう
- 望郷の念を感じ取る
- 夜の静寂を想像する
月の象徴性を味わう
この和歌では、月が故郷との
つながりを象徴しています。
また異国の地で見上げた月が、
奈良の三笠山で見た月と
同じであるという感慨を共有し、
そしてその普遍的な美しさを
楽しむことができます。
望郷の念を感じ取る
異国の地で暮らす阿倍仲麻呂が、
故郷奈良を想う切ない心情を
詠んでいます。
またこの歌に込められた望郷の念を
感じ取りながら、詩的な世界に
浸ることができます。
異国と故郷のつながりを思う
故郷で見た風景と異国で見上げる月が
つながることで、地理的な距離を超えた
感情の共有が描かれています。
またこの普遍的なテーマに共感し、
自然の美しさと人の心の深さを
楽しむことができます。
百人一首第七番『天の原』の情景と解説
上の句(5-7-5)
上の句「天の原 ふりさけ見れば 春日なる」では、
広がる夜空を見上げ、その景色に故郷奈良の
春日を思い出す情景が描かれています。
また空の広がりと視線を上げる動作が、
詠み人の望郷の念を際立たせています。
五音句の情景と意味 「天の原」


「天の原」では、広がる夜空の広大さと、月が輝く静寂で神秘的な情景が描かれています。
七音句の情景と意味 「ふりさけ見れば」


「ふりさけ見れば」では、遠く離れた異国の地から、夜空を振り仰ぐ視線に、詠み人の故郷への想いが込められています。
五音句の情景と意味 「春日なる」


「春日なる」では、故郷奈良の春日大社周辺の情景が浮かび、懐かしさと切なさが滲み出ています。
下の句(7-7)分析
下の句「三笠の山に 出でし月かも」では、
故郷奈良の三笠山から昇った月と、
目の前にある月を重ね合わせ、
望郷の念を深める情景が描かれています。
七音句の情景と意味 「三笠の山に」


「三笠の山に」では、奈良の三笠山の静かな風景が目に浮かび、山の向こうから昇る月の神秘的な姿が象徴されています。
七音句の情景と意味 「出でし月かも」


「出でし月かも」では、目の前の月を、かつて故郷で見た月と同じだと思い、異国の地でも故郷を感じる詠み人の感慨が詠まれています。
和歌全体の情景


和歌全体では、広がる夜空に輝く月を見上げる詠み人の視線が描かれています。その月を故郷奈良の三笠山から昇った月と重ね合わせ、異国の地で感じる孤独や切なさ、そして故郷への懐かしさが詠み込まれています。また広大な天の原と月の普遍性が、地理的な距離を超えた心のつながりを象徴し、詩情豊かな情景を生み出しています。
まとめ
阿倍仲麻呂の「天の原」は、
異国の地・唐で故郷奈良を
想い詠まれた和歌です。
また広がる夜空の月を見上げながら、
かつて三笠山で見た月と
重ね合わせることで、
望郷の念と自然の普遍性を
描いています。

この歌では、自然と感情が融合した名歌として、多くの人々に共感を与え続けています。

百人一首第七番 阿倍仲麻呂『天の原』を情景と背景から完全解説を百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。