🌸今週も、月は俳句・火は偉人・水は俳句・木は百人一首・金は短歌をお届けします🌿

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像 百人一首

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』で、

和歌の世界を旅してみませんか?

この歌は、霜の降りる夜の静けさと、

ひとり眠る心細さを描いた一首です。

紫式部
紫式部

虫の声と冷えた夜気が、孤独な心情をいっそう際立たせます。

小野小町
小野小町

音の少ない情景の中に、言葉にしきれない余情が宿るこの和歌を、ゆっくり味わってみましょう。

前回の記事はこちらから!

前回は、百人一首第90番 殷富門院大輔『見せばやな』―変はらぬ色 をご紹介しました。

涙に濡れても色を失わない袖に託された、変わらぬ想いの深さ。静かな誠実さが胸に残る一首を、ぜひあわせてご覧ください。

👉百人一首第90番 殷富門院大輔『見せばやな』背景解説–変はらぬ色

生涯について

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「九条良経」の肖像画
写真:パブリックドメイン(提供元:Wikipedia)
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

九条良経くじょう よしつね Wikipedia(1169年-1206年)は、

平安時代末期から鎌倉時代初頭にかけて

活躍した公卿・歌人です。

また摂政・関白を務める九条家の

当主として政務に携わる一方、

和歌にも深い関心を示しました。

紫式部
紫式部

そして『新古今和歌集』の撰進に関わり、幽玄で繊細な作風を確立します。

小野小町
小野小町

政治的立場の重さと、内面の孤独や感情の揺らぎを抱えながら詠まれた歌には、静かな余情と気品が漂っています。

歴史的イベント

良経の時代は、

平安貴族社会が大きく揺らぎ、

武家政権へと移行する転換期でした。

紫式部
紫式部

また公家の権威が次第に衰える中、和歌は自己の内面を見つめ直す表現として重みを増します。

小野小町
小野小町

百人一首に選ばれた「きりぎりす」は、華やかな宮廷文化の裏にある孤独や寒さを映し出し、時代の不安と静かな心情を象徴する一首として位置づけられています。

他の歌について

九条良経くじょう よしつねは『新古今和歌集』に、

月ぞすむたれかはここにきのくにや吹上の千鳥ひとりなくなり

という歌を残しています。

この歌は、澄みきった月夜に、

ただ一羽鳴く千鳥の声を重ね、

孤独と静寂を際立たせた一首です。

紫式部
紫式部

また人の気配のない浜辺に響く声は、内面の寂しさそのもの。

小野小町
小野小町

そして自然の澄明さと心の孤影を響き合わせる表現に、九条良経の幽玄で端正な感性がよく表れています。

九条良経くじょう よしつねの「きりぎりす」は、

百人一首終盤に置かれた、

静かな孤独を描く一首です。

また虫の声と霜夜の冷えが、

ひとり眠る心情を際立たせ、

新古今的な幽玄美を体現しています

華やかさを抑え、

余情で語る表現が、

後半部の精神性を象徴しています。

九条良経がなぜこの和歌を詠んだのか?

百人一首第91番 九条良経くじょう よしつね『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝では、九条良経がなぜこの和歌を詠んだのか?についてポイントを3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 孤独な夜の実感を、そのまま詠みとめるため
  • 音と寒さで心情を浮かび上がらせるため
  • 新古今的な「余情」を深めるため

孤独な夜の実感を、そのまま詠みとめるため

霜の降りる夜、

きりぎりすの声だけが響く静けさ。

また人と語らうこともなく、

寒むしろに身を横たえるひとときに、

ふと強く感じる孤独があります。

この和歌では、

その瞬間の心細さを飾らずに掬い取り、

ひとりでいる夜の感覚を、

ありのまま残そうとして詠まれました。

音と寒さで心情を浮かび上がらせるため

感情を直接語るのではなく、

鳴く虫の声と霜夜の

冷えを前に置くことで、

内面の寂しさが

自然に伝わる構成になっています。

また外の世界の静けさと寒さが、

心の奥の孤独を呼び覚ます。

そして情景によって感情を語ることが、

この歌の狙いです。

新古今的な「余情」を深めるため

すべてを言い切らず、

「ひとりかも寝む」と曖昧に結ぶことで、

読み手の想像に委ねる余白が生まれます。

また確定しない言い方が、

かえって心の揺らぎを強く感じさせる。

そして静かな余韻を残す表現

大切にして詠まれた和歌です。

紫式部
紫式部

この和歌は、恋や嘆きを声高に訴えるのではなく、夜の寒さと虫の声に身を置く中で、自然に浮かび上がる孤独を描いています。

小野小町
小野小町

また九条良経くじょう よしつねは、政治的重責を担う立場にありながら、内面ではこうした静かな心情と向き合っていました。

外の静寂と内なる孤独を重ねることで、新古今らしい幽玄の深みを生み出した一首です。

読み方と句意

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌とイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

百人一首 第91番 九条良経くじょう よしつね ※百人一首では後京極摂政前太政大臣

歌:きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む

読み:きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ

句意:この和歌では、霜夜に鳴くきりぎりすの声を聞きながら、寒むしろにひとり眠る孤独と冷えを、静かに受けとめて詠んでいます。

「霜夜のひとり寝」――いまの私たちなら、どう感じるのだろう?

静まり返った夜、ふと訪れるひとりの時間。「霜夜のひとり寝」から感じるのは、孤独と静けさ、身体にしみる冷え、そして自分と向き合う時間です。そして忙しい日々の裏側で、誰にも見せない心の温度が、この言葉にはそっと宿っています。

3つのポイント
  • 静けさが際立たせる孤独
  • 身体が先に感じる「冷え」
  • 自分と向き合うための夜

静けさが際立たせる孤独

夜が深まるほど、音は少なくなり、

自分の存在だけがくっきりと

浮かび上がります。

またひとりで眠るという行為は、

寂しさだけでなく、

誰にも邪魔されない時間でもある。

静けさの中で感じる孤独は、心の輪郭をはっきりと映し出す瞬間でもあります。

身体が先に感じる「冷え」

心よりも先に、

肌や身体が夜の冷たさを

感じ取ることがあります。

布団の中で縮こまりながら、

外の寒さを意識するその感覚は、

不安や心細さと静かにつながっていく。

「霜夜のひとり寝」は、感情と身体が同時に語り出す夜を思い起こさせます。

自分と向き合うための夜

誰とも話さず、

何かを演じる必要もない夜。

またひとりで眠る時間は、

一日の終わりに心を整えるための余白です。

寂しさを否定せず、そのまま受けとめることで、自分の本音に近づける夜が生まれます。

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』の楽しみ方

百人一首第91番 九条良経くじょう よしつね『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝では、この和歌の楽しみ方のポイントをこの3つに分けてみました。

3つのポイント
  • 音から情景をひらく
  • 言い切らない結びの余白を読む
  • 身体感覚として受けとめる

音から情景をひらく

この和歌は、視覚よりもまず

「音」から始まります。

また霜夜に鳴くきりぎりすの声は、

静寂を破るというより、

静けさをいっそう深める存在。

そして耳に届く小さな音

意識を澄ますことで、

夜の冷え、闇の濃さ、

独りの気配が立ち上がります。

聞こえる音を手がかりに、見えない夜を想像する——それがこの歌の第一の楽しみ方です。

言い切らない結びの余白を読む

結句の「ひとりかも寝む」は断定を避け、

余韻を残します。

また孤独を嘆くのでも、

美化するのでもなく、

ただ置かれた心情を静かに示す

その曖昧さが、読み手それぞれの

経験を呼び込みます。

言葉の少なさが生む余白に身を委ねることで、新古今らしい幽玄の深みを味わえます。

身体感覚として受けとめる

寒むしろ、衣を片敷く所作、霜夜の冷え——

この歌は身体の感覚が豊かです。

また想像の中で身を横たえ、

冷たさに肩をすぼめてみると、

心の孤独が自然に重なります。

感情を解釈する前に、身体で夜を感じることで、歌の世界にすっと入っていけます。

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説

上の句「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに」では、

霜の降りる夜、虫の声が際立つ静寂を描きます。

また冷えた夜気と粗末な敷物が、

身を寄せ合う温もりの不在を示し、

九条良経の内に沈む孤独を、

情景によって静かに浮かび上がらせる上の句です。

五音句の情景と意味「きりぎりす」

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

「きりぎりす」では、夜の静けさの中、ひときわ小さく響く虫の声。そして孤独を知らせる合図のように、耳に残ります。

七音句の情景と意味「鳴くや霜夜の」

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

「鳴くや霜夜の」では、霜の降りる冷えた夜気の中で、声が澄んで響く。そして寒さと静寂が重なる夜が広がります。

五音句の情景と意味「さむしろに」

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

「さむしろに」では、薄い敷物の上に身を横たえ、冷えを直接感じる夜。そして心細さが身に伝わる場面です。

下の句(7-7)分析

下の句「衣かたしき ひとりかも寝む」では、

衣を半分だけ敷き、

身を丸めて眠る姿を描きます。

ともに眠る相手のいない夜の寒さと心細さが、

控えめな言い回しによって伝わり、

孤独を嘆くのではなく、

そのまま受け入れる静かな心境が、

深い余情として残る下の句です。

七音句の情景と意味「衣かたしき」

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

「衣かたしき」では、衣を半分だけ敷いて身を休める所作。そして温もりの足りなさが、そっと伝わります。

七音句の情景と意味「ひとりかも寝む」

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

「ひとりかも寝む」では、誰とも寄り添わず、ひとり眠る夜。そして断定を避けた言い方が、心の揺れを残します。

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』和歌全体の情景

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにしたイメージの画像
百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」の情景をテーマにした和歌の画像

霜の降りる夜、きりぎりすの声だけが澄んで響きます。寒むしろに衣を半分敷き、身を寄せる相手もなく横たわる姿が、冷えと静けさの中に浮かびます。

音と寒さが心情を語り、孤独は嘆きではなく受容として描かれる。

九条良経くじょう よしつねの抑えた言葉が、言い切らない余韻を残し、夜の深さと静かな心の在りようを際立たせる一首です。

百人一首第91番 九条良経『きりぎりす』まとめ

九条良経くじょう よしつねの「きりぎりす」は、

霜夜の冷えと虫の声に包まれた、

ひとりの夜を静かに描いた一首です。

また感情を強く語らず、音や寒さ、

所作によって心情を

浮かび上がらせる表現に、

新古今らしい幽玄が宿ります。

紫式部
紫式部

孤独を嘆くのではなく、そのまま受け入れる姿勢が、深い余韻を残します。言葉少なにして心を語る美しさを、あらためて感じさせてくれる和歌です。

小野小町
小野小町

百人一首第91番 九条良経くじょう よしつね『きりぎりす』背景解説–霜夜のひとり寝を百人一首の第一歩として、この和歌を味わうことで、和歌の魅力を発見してみてください。

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