🌸今週も、月は俳句・火は偉人・水は俳句・木は百人一首・金は短歌をお届けします🌿

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」この短歌をイメージした画像 有名歌人一覧

釈迢空の代表的な短歌で

心を静かに旅してみませんか?

自然や旅の中で感じた心の動きを、

静かな言葉で短歌に残した歌人です。

紫式部
紫式部

今回は代表歌集『海やまのあひだ』から、特に印象的な5首を選びました。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

また見えないものを見つめるような、そっと胸に残る歌たちを、やさしく解説していきます。

釈迢空とは?

釈迢空 – Wikipedia(しゃく ちょうくう)は、

本名・折口信夫(おりくちしのぶ)。

大阪・堺に生まれ、

幼いころから古典や詩に親しみました。

歌人としての活動では、「釈迢空」の名を使い、

また自然や人の心を静かに見つめる

短歌を多く残しました。

紫式部
紫式部

もとはアララギ派で活躍していましたが、後に離れ、北原白秋らとともに歌誌『日光』を創刊します。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

さらに民俗学や古代文学の研究でも大きな功績を残し、日本文化を深く探る学者としても知られています。

釈迢空とともに歌誌『日光』を創刊した北原白秋もまた、
独自の感性で言葉の世界を切りひらいた歌人です。

彼の短歌の魅力も、ぜひこちらでご覧ください。

👉北原白秋の短歌カテゴリー記事へ

釈迢空の代表的な短歌5選

末吉
末吉

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!

『葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり』

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」この短歌をイメージした画像
釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」この短歌を記載した画像

葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり

読み方:くずのはな ふみしだかれて、いろあたらし。このやまみちをゆきしひとあり

句意:この短歌では、踏まれた葛の花が鮮やかに色づき、人の通った気配が山道に残されていることを詠んでいます。

紫式部
紫式部

葛の花が踏みしだかれ、鮮やかな色を見せている。またそこに、人が通った痕跡がある――。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

そして誰とも知らぬその人の存在を、花の傷ついた美しさから感じ取る、余韻に満ちた情景描写です。

釈迢空らしい静かなまなざしが、自然と人のすれちがいを詩的に描き出しています。見えない“誰か”が、この山道に確かにいたという感覚が、心に残ります。

『この島に、われを見知れる人はあらず。やすしと思ふあゆみの さびしさ』

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「この島に、われを見知れる人はあらず。やすしと思ふあゆみの さびしさ」この短歌をイメージした画像
釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「この島に、われを見知れる人はあらず。やすしと思ふあゆみの さびしさ」この短歌を記載した画像

この島に、われを見知れる人はあらず。やすしと思ふあゆみの さびしさ

読み方:このしまに、われをみしれるひとはあらず。やすしとおもうあゆみの さびしさ

句意:この短歌では、この島には自分を知る人がいない。その気楽さを感じながらも、歩く足どりには静かな寂しさが宿ると詠んでいます。

紫式部
紫式部

見知らぬ土地で、自分のことを誰も知らない――その自由さに心がほぐれる一方で、どこかににじむ孤独の感覚。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

そしてこの歌は、“無名であること”の気楽さと、それにともなう寂しさを同時に描いた一首です。

釈迢空の内省的なまなざしが、旅人の足どりと心の揺れを丁寧に追いかけています。

『もの言はぬ日かさなれり。稀に言ふことばつたなく 足らふ心』

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「もの言はぬ日かさなれり。稀に言ふことばつたなく 足らふ心」この短歌をイメージした画像
釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「もの言はぬ日かさなれり。稀に言ふことばつたなく 足らふ心」この短歌を記載した画像

もの言はぬ日かさなれり。稀に言ふことばつたなく 足らふ心

読み方:ものいわぬひかさなれり。まれにいうことばつたなく たらうこころ

句意:この短歌では、言葉を発さぬ日々が続き、久しぶりに話すと上手く言えない。でもその不完全さに心が満たされていると詠んでいます。

紫式部
紫式部

日々言葉を発さずに過ごすうちに、たまに口に出す言葉さえも、うまく言えなくなってしまった――。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

しかしその拙さのなかに、かえって本心や真実がにじみ出る。

釈迢空の内省的な感性が光る一首で、「沈黙」と「不器用な言葉」が織りなす人間らしさが静かに描かれています。

『鶏の子の ひろき屋庭に出でゐるが、夕焼けどきを過ぎて さびしも』

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「鶏の子の ひろき屋庭に出でゐるが、夕焼けどきを過ぎて さびしも」この短歌をイメージした画像
釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「鶏の子の ひろき屋庭に出でゐるが、夕焼けどきを過ぎて さびしも」この短歌を記載した画像

鶏の子の ひろき屋庭に出でゐるが、夕焼けどきを過ぎて さびしも

読み方:にわとりのこ ひろきやにわにいでゐるが、ゆうやけどきをすぎて さびしも

句意:この短歌では、夕焼けが過ぎた広い庭に、鶏の子が出ている様子を見て、ふと寂しさがこみ上げてくる情景を詠まれています。

紫式部
紫式部

広い屋敷の庭に出ていた鶏の子たち。その様子は夕焼けの時間まではあたたかく映っていたが、日が暮れると一転して寂しさが募る。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

そして小さな命と移ろう光景が重なり、詠み手の心に静かな孤独を呼び起こす一首です。

釈迢空の視線は、無垢な存在の背後にある「物言わぬ寂しさ」をすくい取っています。

『磯村へますぐにさがる 山みちに、心ひもじく 波の色を見つ』

釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「磯村へますぐにさがる 山みちに、心ひもじく 波の色を見つ」この短歌をイメージした画像
釈迢空の代表的な短歌5選-海やまのあひだ「磯村へますぐにさがる 山みちに、心ひもじく 波の色を見つ」この短歌を記載した画像

磯村へますぐにさがる 山みちに、心ひもじく 波の色を見つ

読み方:いそむらへますぐにさがる やまみちに、こころひもじく なみのいろをみつ

句意:この短歌では、磯村へ続く山道で見た波の色に、ふと心がひもじくなり、旅の寂しさや空虚感を感じる情景を詠んでいます。

紫式部
紫式部

磯村へと続く山道を下りながら、ふと海の波の色が目に入り、またその美しさに心がひもじくなる――。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

そして風景が心に触れる一瞬の感情の揺れを、釈迢空は率直にすくい取ります

物質的な空腹ではなく、心の“飢え”に近い感覚が波の色に重なり、孤独や旅の疲れ、存在の寂しさまでがにじむ一首です。

釈迢空の代表的な短歌ちょっとむずかしいクイズ

クイズ:釈迢空(しゃくちょうくう)の本名は、次のうちどれでしょう?

  1. 正岡信夫
  2. 折口信夫
  3. 山口信夫
末吉
末吉

解答はまとめの最後にあります!

釈迢空の代表的な短歌まとめ

釈迢空の短歌は、

旅や自然の中で出会うさびしさや心のゆれを、

静かでやわらかな言葉で伝えてくれます。

末吉
末吉

『海やまのあひだ』におさめられた歌の中から、心に残る5首を選びました。

わたぼうし生徒
わたぼうし生徒

そっと風景と気持ちを重ねるように、ていねいに味わってみてください。

クイズの答え:2.折口信夫

※釈迢空は短歌活動のときに使った雅号で、本名は折口信夫。歌人としてだけでなく、民俗学者・国文学者としても広く知られています。

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