与謝野晶子の秋の短歌で
秋の訪れを感じてみませんか?
与謝野晶子は情熱的な歌人として知られ、
四季の移ろいも豊かに表現しました。
また秋を詠んだ短歌には、
澄んだ空や草花の姿、
そして胸にしみる心の動きが
映し出されています。

本記事では、晶子の秋の短歌から5首を選び、言葉の響きや意味をやさしく解説します。

短歌が初めての方にも、楽しんでいただける内容です。
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秋を詠んだ与謝野晶子とは?
与謝野晶子 – Wikipedia(よさの あきこ)は、
明治から昭和にかけて活躍した歌人です。
秋を詠んだ短歌では、澄んだ月や色づく草花、
静かな夕暮れを背景に、自らの心の揺れや
人への思いを重ねています。

また華やかさだけでなく、寂しさや切なさを繊細に描いたのが特徴です。

晶子の秋の歌では、自然と人の心が響き合う豊かな世界を見せてくれるため、初心者でもその美しさを素直に味わうことができます。
与謝野晶子の秋の短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『天の川 そひねの床の とばりごしに 星のわかれを すかし見るかな』


天の川 そひねの床の とばりごしに 星のわかれを すかし見るかな
読み方:あまのがわ そいねのとこの とばりごしに ほしのわかれを すかしみるかな
句意:この短歌では、恋人と並んで眠りながら、帳越しに天の川の星の別れを見つめ、愛と別離の予感を重ねています。

晶子は恋の情景を、夜空の星と重ねて鮮やかに詠みました。

また、寄り添って眠る床の帳ごしに見えるのは、やがて別れてゆく星々。そしてその姿に、愛する人との別れを暗示させる感性がにじみます。
秋の澄んだ天の川を背景に、恋の歓びと切なさを同時に映した一首です。
『おばしまに おもひはてなき 身をもたせ 小萩をわたる 秋の風見る』


おばしまに おもひはてなき 身をもたせ 小萩をわたる 秋の風見る
読み方:おばしまに おもいはてなき みをもたせ こはぎをわたる あきのかぜみる
句意:この短歌では、橋の上で尽きぬ思いを抱きながら、小萩を渡る秋風を見つめ、自らの心の揺れを重ねています。

晶子は自らの果てしない思いを、橋の上に身をゆだねる姿に重ねています。

また、小萩を渡って吹く秋風は、静けさとともに心の揺れを運び、尽きぬ思索や感情を映し出します。
橋・萩・秋風という取り合わせが、移ろう季節と女性の心の深さを同時に伝え、切なさを漂わせる一首となっています。
『君ゆくと その夕ぐれに 二人して 柱にそめし 白萩の歌』


君ゆくと その夕ぐれに 二人して 柱にそめし 白萩の歌
読み方:きみゆくと そのゆうぐれに ふたりして はしらにそめし しらはぎのうた
句意:この短歌では、夕暮れに君と詠んだ白萩の歌が柱に刻まれ、別れの切なさと共に心に残り続ける情景を描いています。

この歌は、愛する人との別れの情景を白萩に託して詠んでいます。

また、夕暮れのしっとりとした時間に、二人で心を込めて詠んだ歌が柱に残され、その白萩の清らかな白が別れの哀しさをやわらげます。
自然と人の思いが重なり、記憶として永遠に残る瞬間を鮮やかに切り取った一首です。
『日もすがら 石を叩けり 我よりも 愁はしげなる 秋の雨かな』


日もすがら 石を叩けり 我よりも 愁はしげなる 秋の雨かな
読み方:ひもすがら いしをたたけり われよりも うれはしげなる あきのあめかな
句意:この短歌では、秋の雨が石を打ちつける音は、私の憂いよりもさらに悲しげに響いていると詠まれています。

一日中降り続く秋の雨。そしてその音はまるで石を叩くように響き、もの悲しさを強く伝えています。

晶子は、自らの憂いよりもさらに深く、雨そのものが憂愁を帯びているように感じ取っています。
自然の音に心を重ね、内面の感情を繊細に映し出す短歌であり、雨と心が共鳴する響きが印象的です。
『秋の日は さびし切なし 部屋の棚 あらゆる花を もて飾れども』


秋の日は さびし切なし 部屋の棚 あらゆる花を もて飾れども
読み方:あきのひは さびしせつなし へやのたな あらゆるはなを もてかざれども
句意:この短歌では、秋の寂しさは花を飾っても消えず、華やぎの中にむしろ孤独の深さが際立ってしまう心情を詠んでいます。

この歌は、秋の日の深まる孤独感を描いています。また部屋の棚に色とりどりの花を飾り、華やかさを作り出しても、心の寂しさや切なさは消えません。

そして外の季節と内なる感情が重なり、華やかさの裏に潜む孤独を強調しています。
自然の力だけでは満たされない心の空虚さを端的に表した一首です。
与謝野晶子の秋の短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:与謝野晶子が有名になった短歌の一つに「君死にたまふことなかれ」があります。この歌は誰に向けて詠まれたでしょう?
- 夫に向けて
- 弟に向けて
- 子どもに向けて

解答はまとめの最後にあります!
🍂 もっと与謝野晶子の短歌を楽しみたい方へ
秋の代表作だけでなく、晶子の魅力は季節ごとに広がっています。
👉 イラストでシンプルに楽しむ 与謝野晶子の有名な短歌5選 vol.1(秋編)
👉イラストでシンプルに楽しむ 与謝野晶子の有名な短歌5選 vol.2(冬編)
与謝野晶子の秋の短歌5選まとめ
与謝野晶子の秋の短歌は、
澄んだ空や風に揺れる草花、
そして心の動きを重ねて描かれています。
恋や哀しみも自然の景色と響き合い、
読む人に豊かな情感を伝えます。

秋の美しさと人の想いを味わうことで、晶子の詩心がより身近に感じられるでしょう。
クイズの答え:2.弟に向けて
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