中村汀女の冬の俳句で
静かな冬の風景、感じてみませんか?
中村汀女の俳句は、
日々のくらしの中にある小さな出来事を、
あたたかな目で見つめています。

そして母と子、家の中の静けさ、寒さの中のぬくもりなど、だれの心にもそっと寄り添う情景が描かれています。

本記事では、冬を詠んだ代表的な五句を取り上げ、俳句が初めての方にも分かりやすく、言葉のやさしさと情景の美しさを丁寧に解説していきます。
▶前回の記事はこちらから!
冬の句とあわせて、秋を詠んだ中村汀女の世界にも触れてみませんか。
泣く子の頬、夕餉の気配、花や蜻蛉の光――日常の一瞬をやさしくすくい取る秋の俳句が並びます。季節の移ろいを感じたい方は、ぜひ前回の記事もご覧ください。
冬を詠んだ中村汀女とは?
中村汀女- Wikipedia(なかむら ていじょ)は、
身近な暮らしや母のまなざしを
大切にした俳人です。
また冬の俳句では、
寒さの中にあるぬくもりや人の気配を、
やさしい言葉で描いています。

そして派手な表現は使わず、子どもや家族、日常の一場面を通して、冬の静けさや温情が自然に伝わってきます

初心者にも情景が思い浮かびやすい作風です。
中村汀女の冬の俳句5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『我に返り 見直す隅に 寒菊赤し』


我に返り 見直す隅に 寒菊赤し
読み方:われにかえり みなおすすみに かんぎくあかし
季語:寒菊(かんぎく)
句意:この句では、ふと我に返った視線の先に、部屋の隅で赤く咲く寒菊があり、静かな心の変化が詠まれています。

つまりこの俳句は、心の動きと視線の変化を、寒菊の赤に重ねて描いています。

また、大きな出来事はありませんが、部屋の隅に咲く一輪の菊が、心を我に返らせる存在として働いています。
中村汀女らしい、内面の感情と静かな生活の景を結びつける表現が、冬のひとときをやさしく照らす一句です。
『咳の子の なぞなぞあそび きりもなや』


咳の子の なぞなぞあそび きりもなや
読み方:せきのこの なぞなぞあそび きりもなや
季語:咳(せき)
句意:この句では、咳をする子が、なぞなぞ遊びをやめずに続けています。冬の病みがちな日々の中にも、子どもの元気が残っている情景が詠まれています。

つまりこの俳句は、咳をする子がなぞなぞ遊びに夢中になる姿を通して、冬の暮らしを描いています。

また、病気の説明はせず、「きりもなや」と言い切ることで、子どもの無邪気さと生命力が際立ちます。
咳という不安と、遊びの楽しさが重なり、見守る大人のまなざしまで感じられるところが汀女らしい魅力です。
『水鳥に 人とどまれば 夕日あり』


水鳥に 人とどまれば 夕日あり
読み方:みずどりに ひととどまれば ゆうひあり
季語:水鳥(みずどり)
句意:この句では、水鳥を見て人が立ち止まると、そこに夕日が差し、静かな冬のひとときが生まれる情景が詠まれています。

つまりこの俳句は、水鳥をきっかけに人が足を止め、夕日と出会う一瞬を描いています。

また、説明は少なく、「とどまる」行為そのものが情景を呼び出す点が印象的です。
中村汀女らしい、自然と人の距離の近さ、そして静かな感動をすくい取るまなざしが、冬の水辺をやさしく照らしています。
『白菜の 山に身を入れ 目で数ふ』


白菜の 山に身を入れ 目で数ふ
読み方:はくさいの やまにみをいれ めでかぞふ
季語:白菜(はくさい)
句意:この句では、白菜が積まれた山に身を寄せ、数を目で確かめる様子が詠まれています。

つまりこの俳句は、白菜を数えるという日常の行為を通して、冬の暮らしの落ち着いた時間を描いています。

また、特別な感情は語られませんが、身を入れるという動作に、生活への向き合い方がにじみます。
中村汀女らしい、家の内側から季節をとらえる視線が、静かに心に残る一句です。
『ねんねこに 母子温くしや 夕落葉』


ねんねこに 母子温くしや 夕落葉
読み方:ねんねこに ははこぬくしや ゆうおちば
季語:落葉(おちば)
句意:この句では、ねんねこに包まれた母子が温かく寄り添う。夕暮れの落葉が、やさしい時間を包む情景が詠まれています。

つまりこの俳句は、ねんねこに包まれた母子の姿を通して、暮らしの中の確かなぬくもりを描いています。

また、派手な感情表現はなく、夕の落葉という静かな景を添えることで、母子の温かさがより深く際立ちます。
中村汀女らしい、生活と季節をやさしく結びつける視線が心に残る一句です。
中村汀女の俳句ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:中村汀女の俳句について、正しいものはどれでしょう?
- 高浜虚子からは特別な指導を受けていなかった
- 第一句集『春雪』は、星野立子の句集と姉妹句集として扱われた
- 自身の作風を「台所俳句」と呼ばれることを否定していた
▶中村汀女の俳句は、日々の暮らしの中にある小さな気配や、人のぬくもりを静かにすくい取ります。
咳をする母を見上げる子のまなざし、冬の橋に響く汽笛、部屋に置かれた花の存在感――
そして生活の場面から生まれた冬の句を、別の切り口で味わいたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
中村汀女の冬の俳句5選まとめ
中村汀女の冬の俳句は、
寒さの中にある人のぬくもりや
日々の暮らしを、
やさしい言葉で伝えてくれます。
また派手な景色ではなく、母と子、家の中、
身近な季節の気配に
目を向けているのが特徴です。


本記事で紹介した五句からは、冬という季節を通して心が静かにあたたまる感覚を味わうことができます。


初心者の方にも、汀女の俳句の魅力が自然と伝わる内容です。
クイズの答え:2.第一句集『春雪』は、星野立子の句集と姉妹句集として扱われた
※中村汀女は、高浜虚子から星野立子と並んで特別に指導を受け、句集『春雪』は立子の『鎌倉』と同じ序文を持つ姉妹句集とされました。また「台所俳句」という評価に対しては、家庭から生まれる表現を肯定しています。



