石川啄木の哀情の短歌で、
心をほどきませんか?
石川啄木の短歌には、
貧しさや家族への思いが、
まっすぐな言葉で描かれています。

父や母、幼い子へのまなざしは、決して特別な出来事ではなく、誰もが心のどこかで感じたことのある気持ちです。

本記事では、そんな啄木の「哀情」に焦点をあて、心が揺れる瞬間を、短歌とともにやさしく読み解いていきます。
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前回の記事では、海辺の情景に心をあずけた石川啄木の短歌を取り上げました。白砂や波、流木に映し出されるのは、孤独や迷い、そして立ち止まる心です。
自然の中で揺れる啄木の感情を、短歌とともに味わってみませんか。
貧しさと家族に揺れる心を詠んだ石川啄木とは?
石川啄木 – Wikipedia(いしかわ たくぼく)は、
日々の生活の苦しさや、
家族への思いを率直な言葉で
詠んだ歌人です。

貧しい暮らしの中で感じた不安や後悔、父や母への愛情が、そのまま短歌に表れています。

むずかしい表現は少なく、心の動きをそのまま伝える歌が多いため、今を生きる私たちにも共感しやすいのが特徴です。
石川啄木の哀情の短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『目さまして 猶起き出でぬ 児の癖は かなしき癖ぞ 母よ咎むな』


目さまして 猶起き出でぬ 児の癖は かなしき癖ぞ 母よ咎むな
読み方:めさまして なおおきいでぬ このくせは かなしきくせぞ ははよとがむな
句意:この短歌では、目覚めても起きられない子の癖を、責めないでと母に願う。家庭の切なさがにじむ心情を詠んでいます。

つまりこの短歌は、朝目覚めても起き出せない子の癖を見つめ、母へ「咎むな」とそっと頼む一首です。

また、「かなしき癖ぞ」に、怠けではなく弱さや生活の重さが映ります。責めるより守りたい気持ちが母へ向けられ、家の空気が静かに伝わります。
啄木は、家庭の小さな場面に、貧しさやいたわりの哀情をにじませています。
『なみだなみだ 不思議なるかな それをもて 洗へば心 戯けたくなれり』


なみだなみだ 不思議なるかな それをもて 洗へば心 戯けたくなれり
読み方:なみだなみだ ふしぎなるかな それをもて あらえばこころ たわけたくなれり
句意:この短歌では、涙で心を洗うと、重さがほどけ、不思議と軽くふざけた気分になるという心の変化を詠んでいます。

つまりこの短歌は、あふれる涙を通して心が浄められ、重苦しさがほどけていく瞬間を詠みます。

また、「洗へば心」という比喩により、涙が感情の滞りを流す働きを持つことが示されます。
哀しみの極みから、ふと戯けたくなる転調が生まれる点に、啄木らしい率直な心の動きが表れています。
『ひと塊の 土に涎し 泣く母の 肖顔つくりぬ かなしくもあるか』


ひと塊の 土に涎し 泣く母の 肖顔つくりぬ かなしくもあるか
読み方:ひとくれの つちによだれし なくははの にがほつくりぬ かなしくもあるか
句意:この短歌では、土にすがり泣く母の苦しい表情に、自分の顔を重ね、深い悲しみを詠んでいます。

つまりこの短歌は、土に身を寄せて泣く母の姿を通して、貧しさの中で露わになる母の苦しみを描いています。

また「にがほつくりぬ」という表現により、母の顔に自分の面影を見出すことで、血縁による哀しみの連なりが強く意識されます。
啄木は母を見つめながら、自身もまた同じ運命にあることを悟り、逃れがたい家族の哀情を静かに詠んでいます。
『燈影なき 室に我あり 父と母 壁のなかより 杖つきて出づ』


燈影なき 室に我あり 父と母 壁のなかより 杖つきて出づ
読み方:ほかげなき へやにわれあり ちちとはは かべの なかより つえつきていず
句意:この短歌では、灯のない部屋にいると、父母が壁の中から杖をついて現れるように思えると詠んでいます。

つまりこの短歌は、灯のない部屋にひとりいる作者が、父母の気配を幻のように感じる夜を描いています。

また「壁のなかより」という言い方が、現実と想像の境目を曖昧にし、家族の記憶が迫る怖さを生みます。
杖をつく姿には老いと弱さが重なり、貧しさの中で家族が影となる哀情が、静かに胸に残ります。
『ふるさとの 父の咳する 度に斯く 咳の出づるや 病めばはかなし』


ふるさとの 父の咳する 度に斯く 咳の出づるや 病めばはかなし
読み方:ふるさとの ちちのせきする たびにかく せきのでづるや やめばはかなし
句意:この短歌では、故郷で父が咳をするたびに、自分にも咳が出る。病が重なり、悲しみが募ると詠んでいます。

つまりこの短歌は、父の咳と自分の咳が重なる感覚から、家族の病と離れて暮らす不安を描いています。

また。咳という身近な音が、距離を越えて胸に届き、血のつながりを強く意識させます。
「病めばはかなし」に、避けられぬ衰えと無力感が集約され、啄木の哀情が静かに伝わる一首です。
石川啄木の哀情の短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:結核により満26歳で亡くなった石川啄木が、亡くなった年はいつでしょうか?
- 1909年
- 1911年
- 1914年

解答はまとめの最後にあります!
🌿 もっと啄木の短歌の世界を、イラストと一緒に味わってみませんか?
石川啄木の短歌には、家族への想い、故郷の記憶、そして恋の余韻などさまざまな感情が込められています。やさしいイラストとともに読むことで、心にすっと入ってくる啄木の言葉がさらに身近に感じられますよ。
🔗 イラストでシンプルに楽しむ石川啄木の有名な短歌5選 vol.1(家族・生活編)
🔗 イラストでシンプルに楽しむ石川啄木の有名な短歌5選 vol.2(故郷・恋編)
石川啄木の哀情の短歌まとめ
本記事では、石川啄木が貧しさや
家族への思いを率直に詠んだ短歌を
紹介しました。
父や母、子へのまなざし、
生活の苦しさの中で揺れる心が、
やさしい言葉で描かれています。

難しい知識がなくても、日々の気持ちに重ねて読めるのが啄木の魅力です。

静かに心へ届く一首一首を、ゆっくり味わってみてください。
クイズの答え:1.1911年
※啄木は明治19年(1886年)生まれ、明治44年(1911年)に26歳で生涯を閉じました。




