松尾芭蕉の春の俳句5選vol.2で、
春のぬくもりを感じてみませんか?
松尾芭蕉が詠んだ春の俳句には、
花や月、暮らしの気配が静かに
息づいています。

春の俳句5選vol.2では、前回とは異なる代表作を取り上げ、情景と心の動きをやさしく読み解きます。

そして難しい説明はせず、はじめて俳句を読む方にもわかりやすく紹介します。芭蕉の春を、ゆっくり味わってみませんか。
▶前回の記事はこちらから!
春のやわらかな句を味わったあとは、松尾芭蕉が詠んだ冬の俳句にも触れてみませんか。
嵐、寒さ、旅の緊張――
冬の句には、自然の厳しさと向き合う芭蕉の姿があります。季節を越えて読むことで、芭蕉のまなざしの深さがよりはっきりと感じられるはずです。
今回の5句で味わう、松尾芭蕉の春
松尾芭蕉 – Wikipedia(まつお ばしょう)
春の俳句には、花や月だけでなく、
暮らしの中でふと感じる春の気配が
詠まれています。

今回選んだ5句では、静けさ、やわらかさ、生活の実感がそれぞれ異なる角度から伝わるものばかりです。

そして華やかさよりも、季節が身の回りにそっと立ち上がる瞬間に目を向けた句を集めました。
彼の生涯や代表作について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。また俳句の背景を知ることで、より味わい深く楽しめます。
松尾芭蕉の春の俳句5選vol.2

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『猫の恋 やむとき閨の 朧月』


猫の恋 やむとき閨の 朧月
読み方:ねこのこい やむときねやの おぼろづき
季語:猫の恋(ねこのこい)
句意:この句では、猫の恋の騒ぎが静まった夜、寝室に差し込む朧月のやわらかな光を詠んでいます。

つまりこの俳句は、春の象徴である猫の恋の騒がしさと、夜の閨に満ちる朧月の静けさを対比させた一句です。

また直接的な感情表現を避け、音が消えた後の空気だけを残すことで、艶やかさと寂しさが同時に立ち上がります。
静まり返った瞬間の余情を味わわせる、芭蕉らしい繊細な春の一句です。
『此梅に 牛も初音と 鳴つべし』


此梅に 牛も初音と 鳴つべし
読み方:このうめに うしもはつねと なきつべし
季語:梅(うめ)
句意:この句では、この梅の香に誘われ、牛でさえ新年最初の声をあげそうだという、春の兆しを詠んでいます。

つまりこの句は、梅の香に満ちる春の始まりを、牛の初音という意外な取り合わせで描きます。

また人の祝賀ではなく、自然全体が応えるように感じさせる点が魅力です。
強く言い切らず「鳴つべし」と含みを持たせることで、静かな喜びと余白が生まれます。そして素朴な想像力で春の到来を祝う、芭蕉らしい明るさの一句です。
『木のもとに 汁も鱠も 桜かな』


木のもとに 汁も鱠も 桜かな
読み方:きのもとに しるもなますも さくらかな
季語:桜(さくら)
句意:この句では、桜の木の下で、汁や鱠まで並ぶ花見の情景を詠み、桜が場のすべてを包む春の喜びを表しています。

つまりこの句は、花見の席に並ぶ汁や鱠といった日常の食を描きながら、主役はあくまで桜そのものであると示します。

また人の楽しみや賑わいは背景に退き、桜が場の意味を決定づけます。
華やかさを誇張せず、生活の延長として春を受け入れる姿が印象的です。そして自然と人の営みが溶け合う瞬間を、軽やかに捉えた芭蕉の一句です。
『山吹の露 菜の花のかこち 顔なるや』


山吹の露 菜の花のかこち 顔なるや
読み方:やまぶきのつゆ なのはなのかこち がおなるや
季語:山吹(やまぶき)
句意:この句では、山吹の露と菜の花の匂いに包まれ、春の野にある顔立ちや表情が思い浮かぶ情景を詠んでいます。

つまりこの句は、山吹の露と菜の花という春の要素を重ね、野の景が一つの「顔」を結ぶように立ち上がるさまを捉えています。

また具体的な人物を示さず、感覚の重なりから表情を想像させる点に芭蕉の妙があります。
自然の配置そのものが意味を帯び、春の生命感とやさしさが静かに伝わる一句です。
『春立つや 新年ふるき 米五升』


春立つや 新年ふるき 米五升
読み方:はるたつや しんねんふるき こめごしょう
季語:春立つ(はるたつ)
句意:この句では、立春を迎えたが、家には前年の古米が五升残るという、暮らしの実感と季節の切り替わりを詠んでいます。

つまりこの俳句は、立春という節目と、古米五升という現実を並べて描きます。

また新しい季節への高揚を示しつつ、生活の持続を具体で受け止める姿勢が印象的です。
理想を誇張せず、今あるものから春を始める。その慎ましさに、芭蕉の目線が宿ります。そして季節と暮らしの差を受け入れる静かな覚悟が感じられる一句です。
松尾芭蕉の春の俳句5選vol.2 ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:次のうち、蕉門十哲に含まれない人物はどれでしょう?
- 服部嵐雪(はっとり らんせつ)
- 各務支考(かがみ しこう)
- 与謝蕪村(よさ ぶそん)
▶春の俳句5選は、ここで終わりではありません。
松尾芭蕉の春の代表作から、梅の香、山路、すみれ草、そして「古池」まで、芭蕉の春の原点ともいえる5句を紹介しています。
vol.2とあわせて読むことで、芭蕉が見つめた春の広がりと深まりが、より立体的に感じられるはずです。
松尾芭蕉の春の俳句5選vol.2 まとめ
松尾芭蕉の春の俳句vol.2では、
花や月、暮らしの気配など、
身近な春の一瞬を詠んだ5句を紹介しました。
どの句も大きな出来事はなく、
静かな気づきや余韻が大切にされています。

むずかしい知識がなくても、感じたまま読めるのが芭蕉の魅力です。

シリーズで読むことで、春の表情の違いが少しずつ見えてきます。
クイズの答え:3.与謝蕪村(よさ ぶそん)
※蕉門十哲とは、松尾芭蕉の門下で特にすぐれた俳人たちを指す呼び名です。与謝蕪村は芭蕉を深く尊敬しましたが、時代が後の俳人で、直接の門弟ではありません。


