伊藤左千夫の春の短歌5選vol.2で
春の訪れを感じてみませんか?
伊藤左千夫の春の短歌を
やさしく味わえるシリーズ第2弾です。
自然の風景や日々の気持ちを、
静かな言葉でていねいに表現した歌を
5首選びました。

それぞれの意味や見どころをわかりやすく解説しています。

短歌に初めてふれる方でも、安心して楽しめる内容です。
▶前回の記事はこちらから!
冬の静けさの中ににじむ、伊藤左千夫のやさしいまなざし。
庭や草木に寄り添いながら、季節の移ろいと心の動きを描いた5首を紹介しています。
春の歌とあわせて読むことで、より深く味わえるはずです。
今回の5首で味わう、伊藤左千夫の春
伊藤左千夫 – Wikipedia(いとう さちお)
今回の5首では、
伊藤左千夫が描く春のやさしい風景と、
静かな心の動きを味わうことができます。

また花や雨、光といった身近な自然の中にある小さな気づきを、ていねいな言葉で表現しています。

短歌に初めてふれる方でも、安心して楽しめる内容です。
伊藤左千夫の春の短歌5選vol.2

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『九十九里の 磯のたひらは あめ地の 四方の寄合に 雲たむろせり』


九十九里の 磯のたひらは あめ地の 四方の寄合に 雲たむろせり
読み方:くじゅうくりの いそのたひらは あめつちの よものよりあいに くもたむろせり
句意:この短歌では、九十九里浜の広い海辺で、天地の四方から雲が集まるように見える壮大な自然の景色を詠んでいます。

つまりこの短歌は、九十九里浜の広く平らな海辺に立ち、天地の果てから雲が集まってくるような壮大な景色を詠んだ一首です。

また、左千夫は、あめ地の四方の寄合に雲たむろせりという表現で、空と海がひとつに広がる雄大さを描いています。
人の気配を離れ、自然の大きさに包まれる感覚が静かに伝わる、力強い叙景の歌です。
『病みこやす 君は上野の 裏山の 桜を見つつ 歌よむらんか』


病みこやす 君は上野の 裏山の 桜を見つつ 歌よむらんか
読み方:やみこやす きみはうえのの うらやまの さくらをみつつ うたよむらんか
句意:この短歌では、病の君が上野の裏山で桜を見ながら歌を詠んでいるのではと想い、気づかう心を詠んでいます。

つまりこの短歌は、病に伏す君を思いながら、その人が上野の裏山で桜を見て歌を詠んでいるのではないかと想像した一首です。

また、左千夫は、病みこやす君への気づかいとともに、その人の心が春の桜に向いていることを思いやります。
離れていても、同じ春の景色を分かち合うような温かな想いが伝わる、やさしい情の歌です。
『亀井戸の 藤もをはりと 雨の日を からかささして ひとり見にこし』


亀井戸の 藤もをはりと 雨の日を からかささして ひとり見にこし
読み方:かめいどの ふじもおわりと あめのひを からかささして ひとりみにこし
句意:この短歌では、見頃を過ぎる藤を、雨の日に傘をさしてひとり見に行き、過ぎゆく季節を惜しむ心を詠んでいます。

つまりこの短歌は、見頃を過ぎようとする亀戸の藤を、雨の日にひとり訪ねて見に来た心情を詠んだ一首です。

また、左千夫は、藤もをはりと知りながらも足を運ぶ思いに、花への愛着と名残をにじませています。
からかさを差して雨の中に立つ姿には、過ぎゆく季節を静かに見送る孤独とやさしさが感じられます。
『花ちらふ 隅田の河原の 寺島を 雨ふりくれて 蛙鳴くなり』


花ちらふ 隅田の河原の 寺島を 雨ふりくれて 蛙鳴くなり
読み方:はなちらふ すみだのかわらの てらじまを あめふりくれて かわずなくなり
句意:この短歌では、花の散る隅田の河原に雨が降り暮れ、蛙の声が響く中で春の終わりを感じる情景を詠んでいます。

つまりこの短歌は、隅田川の河原、寺島のあたりで花が散る中、雨が降り暮れていく夕べの情景を詠んだ一首です。

また左千夫は、花ちらふ河原の寂しさに、雨の気配と時間の移ろいを重ねています。
やがて聞こえてくる蛙の声が、春の終わりと静かな夜の訪れを告げるように響き、しみじみとした余韻を残します。
『垣のもとに 茂り生ひたる 山吹の しづ枝に一つ 花咲き残る』


垣のもとに 茂り生ひたる 山吹の しづ枝に一つ 花咲き残る
読み方:かきのもとに しげりおいたる やまぶきの しずえにひとつ はなさきのこる
句意:この短歌では、山吹が茂る中、低い枝に一つだけ残った花を見つめ、春の終わりの静かな美しさを詠んでいます。

つまりこの短歌は、垣のそばに茂る山吹の中で、低くしだれた枝に一輪だけ花が残っている情景を詠んだ一首です。

また左千夫は、しづ枝に一つ残る花の姿に目をとめ、華やかさではなく静かな美しさを見つめています。
盛りを過ぎた中に残る一輪には、過ぎゆく春の余韻とやさしい寂しさが感じられる、落ち着いた味わいの歌です。
伊藤左千夫の春の短歌5選vol.2 ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:伊藤左千夫が感化された正岡子規の作品はどれでしょう?
- 歌よみに与ふる書
- 病牀六尺
- 竹乃里歌

解答はまとめの最後にあります!
▶春のやわらかな光と雨の中で、伊藤左千夫のまなざしがひらく前回の記事。
自然の中にある小さな気づきや心の動きを、ていねいな言葉で味わえます。とくに『牛飼が歌詠む時に…』に込められた、誰もが自由に歌える世界への思いも印象的です。
伊藤左千夫の春の短歌5選vol.2 まとめ
伊藤左千夫の春の短歌を5首取り上げ、
その魅力をやさしく紹介しました。
自然の風景と心の動きを、
静かな言葉でていねいに描く
表現が印象的です。

それぞれの歌の意味や見どころをわかりやすく解説しているので、短歌に初めてふれる方でも安心して楽しめる内容です。
クイズの答え:1.歌よみに与ふる書


