若山牧水の春の短歌で
春の訪れを感じてみませんか？
若山牧水は、自然の美しさや季節の移ろいを
繊細に詠んだ歌人です。
特に春の短歌には、柔らかな陽ざしや風の匂い、
桜の儚さなど、心に残る情景が広がります。
本記事では、牧水の春を詠んだ代表的な短歌を5つ厳選し、その魅力をわかりやすく解説します。
シンプルな言葉で紡がれる短歌の世界を、ぜひ一緒に楽しんでみましょう！
短歌を始めたい方におすすめ！石川啄木と短歌の世界を通じて、特に初心者向けに短歌のルールを学べる記事はこちらです。
春を詠んだ若山牧水とは？
若山牧水 – Wikipedia（わかやまぼくすい）は、
日本を代表する歌人の一人です。
早稲田大学に進学すると、
同級生の北原射水（後の北原白秋）、
中林蘇水と親しくなり、「早稲田の三水」と
呼ばれるようになりました。
そして、この時期に培われた友情や文学への情熱は、
後の歌作にも大きな影響を与えました。
また、牧水は自然をこよなく愛し、
旅をしながら数多くの短歌を詠み続けました。
特に春の歌では、梅や桜、春の空や風を優しく表現し、
さらに、季節の移ろいや感情の深まりを繊細に描いています。
彼の短歌は、シンプルな言葉でありながら、風景や心の動きを美しく描き出しています。今回は、そんな牧水の春の短歌に注目してご紹介します。
若山牧水が自然の情景を旅の中で詠んだのに対し、同級生の北原射水（後の北原白秋）は、言葉のリズムや色彩豊かな表現で独自の世界を築きました。そんな北原白秋の短歌も、おすすめです。
若山牧水の春の短歌5選
「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね！
『梅のはな 枝にしらじら 咲きそむる つめたき春と なりにけるかな』
梅のはな 枝にしらじら 咲きそむる つめたき春と なりにけるかな
読み方：うめのはな えだにしらじら さきそむる つめたきはると なりにけるかな
出典：白梅集
句意：この短歌では、春の寒さの中、梅の花がほのかに咲き始め、冬の余韻を残した冷たい春の訪れを詠んでいます。
つまり「枝にしらじら」と表現することで、薄白い花びらが冷たい空気の中で静かに開き始める様子を描き出しています。
また、「つめたき春」との対比によって、春の到来を感じながらも、まだ冬の名残を感じる情景が強調されています。
この短歌は、春のはじまりの儚さと、自然の移ろいの中にある微妙な美しさを見つめる視点が印象的な一首です。
『東風吹くや 空にむらだつ 白雲の 今朝のしげきに 雲雀なくなり』
東風吹くや 空にむらだつ 白雲の 今朝のしげきに 雲雀なくなり
読み方：こちふくや そらにむらだつ しらくもの けさのしげきに ひばりなくなり
出典：山桜の歌
句意：この短歌では、東風が吹き、空には白雲が立ちこめる。春の朝の活気に満ちた空気の中、雲雀が元気よく鳴いていると詠んでいます。
「東風吹くや」では、春の訪れを告げる風のこと。「空にむらだつ白雲」では、風によってかき乱される雲の様子を描写し、その動きが春の活気を伝えています。
そして、「今朝のしげきに雲雀なくなり」と続き、朝の空気のざわめきの中で雲雀が鳴いていることが、春の賑わいをより鮮明に感じさせます。
この短歌は、春風が生み出す自然の変化と、季節の生き生きとした息吹を表現した一首です。
『春寒き みそらの星の しめらへる この東明を 風吹き立ちぬ』
春寒き みそらの星の しめらへる この東明を 風吹き立ちぬ
読み方：はるさむき みそらのほしの しめられる このとうみょうを かぜふきたちぬ
出典：黒土
句意：この短歌では、春の寒さが残る空に、湿った星が輝く。東の空が明るくなり始めると、風が吹き立ちはじめたと詠んでいます。
「春寒き」では、春になってもまだ冷たい空気を感じること。「みそらの星のしめらへる」では、湿気を帯びた星の輝きを表し、夜空がしっとりとした雰囲気を漂わせています。
そして、「この東明を風吹き立ちぬ」と続き、東の空がほのかに明るくなり、そこへ風が吹き起こる様子が描かれています。
この短歌は、春の夜から明け方へと移り変わる時間の流れを感じさせる、幻想的で静かな美しさを詠んだ一首です。
『春のそら それとも見えぬ 太陽の かげのほとりの うす雲のむれ』
春のそら それとも見えぬ 太陽の かげのほとりの うす雲のむれ
読み方：はるのそら それともみえぬ たいようの かげのほとりの うすぐものむれ
出典：独り歌へる
句意：この短歌では、春の空に浮かぶ薄雲が、太陽の姿をかすかに隠し、光と影の境界にやわらかく漂っていると詠んでいます。
若山牧水のこの短歌は、春の空に広がる薄雲の静かな情景を描いています。「それとも見えぬ太陽」では、雲に隠れた太陽の存在をぼんやりと感じる様子を表しています。
そして「かげのほとりのうす雲のむれ」は、太陽の光が届くか届かないかの境界で、やわらかくたなびく雲を表現しています。
この短歌は、春の淡い光の中に、静かな移ろいを感じさせる一首です。
『春の日の ひかりのなかに つぎつぎに 散りまふ桜 かがやきて散る』
春の日の ひかりのなかに つぎつぎに 散りまふ桜 かがやきて散る
読み方：はるのひの ひかりのなかに つぎつぎに ちりまうさくら かがやきてちる
出典：山桜の歌
句意：この短歌では、春の光の中、桜が次々と舞い散る。その散る姿もまた輝き、美しく儚いものだと詠んでいます。
この短歌は、春の陽光を浴びながら、次々と舞い散る桜の美しさを鮮やかに描いています。
そして、「ひかりのなかに」は、明るく輝く春の光を表し、「かがやきて散る」は、散り際までも美しく光る桜の儚さを際立たせています。
牧水は、この一瞬の輝きを通して、人生の美しさと無常を詠んでおり、読者に深い感動を与えます。
若山牧水のちょっとむずかしいクイズ
クイズ：若山牧水の歌風の特徴として正しいのは？
- 力強く雄々しい表現
- 繊細で叙情的な表現
- 風刺やユーモアを交えた表現
解答はまとめの最後にあります！
若山牧水の春の短歌を楽しんだあとは、北原白秋の名作にも触れてみませんか？
白秋が描く春の情景や心の機微を、イラストとともにわかりやすく解説しています。短歌の魅力をさらに深く味わいたい方におすすめです！
若山牧水の春の短歌5選まとめ
牧水の短歌は、
春の自然の美しさや移ろいを、
やわらかく繊細な言葉で表現しています。
また桜が散る光景や春風に揺れる雲など、
春ならではの情景が広がります。
「若山牧水の春の短歌5選 – 代表作をわかりやすく解説！」では、初心者の方にも楽しんでいただける内容で、短歌の魅力や奥深さに触れることができます。
ぜひ牧水の短歌を通して、春の空気を感じてみてください！
クイズの答え：２.繊細で叙情的な表現
