樋口一葉の秋の短歌で
秋の訪れを感じてみませんか?
彼女の作品には、朝顔の花や初雁の声、
そして山里の夕暮れなど、身近な秋の情景が
やさしく描かれています。

本記事では、樋口一葉の代表的な秋の短歌を5首選び、その魅力をわかりやすく解説します。

秋のしみじみとした雰囲気を感じてみましょう。
▶前回の記事はこちらから!
前回は、樋口一葉が詠んだ夏の短歌をご紹介しました。
蛍や時鳥、梅雨や夏河の情景に、人の心を重ねた名歌をぜひこちらからご覧ください。
秋を詠んだ樋口一葉とは?
樋口一葉 – Wikipedia(ひぐち いちよう)は、
明治時代に活躍した女性作家であり歌人です。
わずか24年の生涯でしたが、
短歌や小説に多くの名作を残しました。
特に秋を詠んだ歌には、
物寂しさや人恋しさといった感情が、
自然の風景と重ねられています。

また落ち葉や月、秋風など身近な情景を題材にしながら、自らの心を映すように表現したのです。

そしてその歌はやさしく、誰もが感じる秋の気持ちを伝えてくれるため、今も多くの人に親しまれています。
▶樋口一葉が短い生涯で繊細な感情を秋に託したのに対し、与謝野晶子は情熱的で豊かな言葉で秋を描きました。女性歌人として異なる魅力を放つ二人の表現を、ぜひ比べながらお楽しみください。
樋口一葉の秋の短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『葉がくれに 一花咲きし 朝がほの 垣根よりこそ 秋は立ちけれ』


葉がくれに 一花咲きし 朝がほの 垣根よりこそ 秋は立ちけれ
読み方:はがくれに ひとはなさきし あさがおの かきねよりこそ あきはたちけれ
句意:この短歌では、垣根の葉陰に咲いた朝顔の一花から、秋の訪れを感じ取っている様子を詠んでいます。

つまりこの短歌は、朝顔の一花と秋の訪れを重ねて描いています。

また、「葉がくれに」という言葉が、控えめながら確かに咲く花の姿を際立たせるのがポイントです。
夏から秋へと移ろう瞬間を、垣根越しの小さな発見から捉え、そして静かでやさしい余情を伝える一首となっています。
『秋もやや はだ寒くなる 夕風に あはれ初雁 なき渡るなり』


秋もやや はだ寒くなる 夕風に あはれ初雁 なき渡るなり
読み方:あきもやや はださむくなる ゆうかぜに あわれはつかり なきわたるなり
句意:この短歌では、肌寒くなった秋の夕風の中を、初雁が鳴きながら渡っていく情景を哀れ深く詠んでいます。

つまりこの短歌は、秋の深まりを告げる初雁を中心に、夕風の冷たさを重ねて描いています。

また「はだ寒くなる」という素朴な表現が、季節の移ろいを身近に感じさせるのがポイントです。
鳴き渡る雁の声が、夕暮れの空気と響き合い、哀愁ある秋の情緒をしみじみ伝える一首となっています。
『ねにかへる 鳥だにもなし まきの立つ あら山なかの 秋の夕暮』


ねにかへる 鳥だにもなし まきの立つ あら山なかの 秋の夕暮
読み方:ねにかえる とりだにもし まきのたつ あらやまなかの あきのゆうぐれ
句意:この短歌では、巣に帰る鳥すら見えず、薪の煙だけが立つ荒れた山中の秋の夕暮れを詠んでいます。

つまりこの短歌は、鳥もいない寂しい山の夕暮れを描いています。

また「まきの立つ」という生活の気配が、静けさをより強調するのがポイントです。
自然の荒涼と人の営みの小ささが対照的に映し出され、秋の夕暮れの物寂しさを深く感じさせる一首となっています。
『秋しのや 外山のみねの 朝霧に うすれて残る 有明の月』


秋しのや 外山のみねの 朝霧に うすれて残る 有明の月
読み方:あきしのや とやまのみねの あさぎりに うすれてのこる ありあけのつき
句意:この短歌では、外山の峰にかかる朝霧の中、淡く薄れてなお残る有明の月の姿を詠んでいます。

つまりこの短歌は、朝霧に霞む有明の月を描き、秋の静かな気配を表しています。

また「うすれて残る」という表現が、月の儚さと秋の朝の移ろいを印象づけるのがポイントです。
山の霧と月の光が重なり合うことで、清らかで幽玄な余情を伝える一首となっています。
『もろともに 涙あらそふ 心地して 枕に絶えぬ むしのこゑかな』


もろともに 涙あらそふ 心地して 枕に絶えぬ むしのこゑかな
読み方:もろともに なみだあらそう ここちして まくらにたえぬ むしのこえかな
句意:この短歌では、枕元に絶えず響く虫の声が、自分の涙と競い合うように聞こえる心情を詠んでいます。

つまりこの短歌は、虫の声と涙を重ねる感受性を描いています。

また「涙あらそふ心地して」という表現が、悲しみの深さと虫の声の絶え間なさを響き合わせるのがポイントです。
自然の音が心の感情を映す鏡となり、孤独と切なさをしみじみと伝える一首になっています。
樋口一葉の秋の短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:樋口一葉の本名は次のうちどれでしょう?
- 夏目奈津
- 樋口奈津
- 樋口夏子

解答はまとめの最後にあります!
樋口一葉の秋の短歌5選まとめ
樋口一葉の秋の短歌は、
自然の景色と人の心を
静かに重ね合わせた作品です。
また朝顔や初雁、夕暮れの山里など、
日常の中にある秋の美しさを
やさしく描いています。

「樋口一葉の秋の短歌5選 – 代表作をわかりやすく解説!」では、難しい言葉を使わずに、やさしい気持ちで読めるのが魅力です。

一葉の秋の歌には、今を見つめる心が息づいています。
クイズの答え:2.樋口奈津