正岡子規の冬の俳句で
冬の訪れを感じてみませんか？
正岡子規は、
目の前の景色をそのまま描く
写生の俳人としてよく知られています。
冬の俳句では、枯野や冬牡丹、水鳥など、季節の静けさの中にある美しさをすっきりと表現します。
この記事では、子規の冬の代表作5句を、初心者にもわかりやすくやさしく解説します。
▶前回の記事はこちらから！
前回の「正岡子規の秋の俳句5選」では、柿・夕陽・鶏頭など、子規ならではの写生の力が光る一句を紹介しました。まだご覧になっていなければ、秋の深まりとともに味わえる
こちらの記事も、ぜひ合わせてどうぞ。
子規の瑞々しい観察力が、さらに季節の景色を広げてくれます。
冬を詠んだ正岡子規とは？
俳句を「ありのままの写生」で
表すことを大切にした俳人です。
冬を詠んだ句では、
枯野や雪、冬牡丹、水鳥など、
季節の静けさや澄んだ空気を
そのまま切り取るのが特徴です。
また大きく感情を出すのではなく、自然の景色に自分の心がそっと重なるような表現が多く見られます。
そして病気で思うように動けない時期もありましたが、その中でも細やかな観察と透明感のある言葉で冬の美しさを描き続けました。
彼の生涯や代表作について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。また俳句の背景を知ることで、より味わい深く楽しめます。
正岡子規の冬の俳句5選
「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね！
『三日月を 相手にあるく 枯野哉』
三日月を 相手にあるく 枯野哉
読み方：みかづきを あいてにあるく かれのかな
季語：枯野（かれの）
句意：この句では、冬の枯野を歩くと、三日月だけが自分の相手のように寄り添い、静けさと孤独が深まる情景をしみじみと詠んでいます。
つまりこの俳句は、冬の枯野を歩く孤独な時間を、「三日月を相手にあるく」というやさしい表現で描いた一句です。
また月だけが寄り添うように感じられる広い枯野は、静けさの中にある人の心の寂しさを自然に映し出します。
子規の写生の力と、心に触れるしずかな情感が光る冬の名句です。
『十二月 上野の北は 静かなり』
十二月 上野の北は 静かなり
読み方：じゅうにがつ うえののきたは しずかなり
季語：十二月（じゅうにがつ）
句意：この句では、十二月の冷たい空気の中、上野の北側だけが不思議なほど静まり返り、年の暮れの寂しさが染み入るという情景が詠まれています。
つまりこの俳句は、十二月の冷気の中で、上野の北側に広がる特別な静けさを捉えた一句です。
また都会にいながらも、ふっと訪れる“音のない時間”に気づく子規の感性が光ります。
年の暮れの落ち着いた雰囲気と、しずかな余韻が広がる冬の名句です。
『水鳥の すこしひろがる 日なみ哉』
水鳥の すこしひろがる 日なみ哉
読み方：みずとりの すこしひろがる ひなみかな
季語：水鳥（みずとり）
句意：この句では、穏やかな冬の日差しの中、水鳥が水面に少し広がっていく光景を、静かな日並みとともに味わうという情景が詠まれています。
つまりこの俳句は、水鳥が水面にゆったりと広がる様子を、冬の日差しとともに静かにとらえた一句です。
また「すこしひろがる」の表現が、冬の穏やかな時間の流れを的確に描き、
子規特有の写生の鋭さと柔らかさが感じられます。
水面の光と鳥の動きが調和した、清らかな冬景色の俳句です。
『雪よりも 時雨にもろし 冬牡丹』
雪よりも 時雨にもろし 冬牡丹
読み方：ゆきよりも しぐれにもろし ふゆぼたん
季語：冬牡丹（ふゆぼたん）
句意：この句では、冬牡丹は雪よりも、冷たい時雨に当たるといっそう崩れやすく、その儚さが切なく映るという情景を詠んでいます。
つまりこの俳句は、冬牡丹の持つ「美しさと脆さ」を、雪と時雨を対比しながら繊細に捉えた一句です。
また時雨に当たると崩れやすい冬牡丹の儚さが、冬の静けさとともにしっとりと伝わります。
子規の写生は単なる景色描写ではなく、自然へのやさしい共感がにじむところが魅力です。
『白雪を つんで小舟の 流れけり』
白雪を つんで小舟の 流れけり
読み方：しらゆきを つんでこぶねの ながれけり
季語：白雪（しらゆき）
句意：この句では、雪を積んだ小舟が、静かな川面をさらりと流れていく情景をとらえ、冬の清らかな空気感をしずかに詠まれています。
つまりこの俳句は、白雪を積んだ小舟が川を静かに流れる様子を描き、冬の透明な静けさを美しく伝えています。
また「白雪をつんで」が清らかな光景を鮮明にし、「流れけり」のやわらかな余韻が、一瞬の静まりを詩に変えています。
子規ならではの写生のまなざしが光る、清澄な冬の一句です。
正岡子規の冬の俳句ちょっとむずかしいクイズ
クイズ：「雪よりも しぐれにもろし 冬牡丹」で子規が強調しているのは？
- 冬牡丹の豪華な色彩
- 時雨にあたると花が崩れやすい儚さ
- 冬牡丹が寒さに強いこと
▶もっと気軽に子規の冬句を楽しみたい方へ。
イラストでシンプルに味わう正岡子規の冬の俳句5選もご用意しました。
『冬ざれの 厨に赤き 蕪かな』
『南天を こぼさぬ霜の 静かさよ』など、
暮らしの中の冬景色を、やわらかな絵と一緒に感じてみませんか？
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春の代表作をやさしく解説した記事 もおすすめです。
『故郷や どちらを見ても 山笑ふ』
『若鮎の 二手になりて 上りけり』など、
春の息づかいを感じる名句を、わかりやすく紹介しています。
正岡子規の冬の俳句5選まとめ
正岡子規の冬の俳句には、
目の前の景色をそのまま写す写生の力が
はっきりと表れています。
また枯野や冬牡丹、水鳥など、
冬の静けさをそっと
すくい上げるような言葉が並び、
そして自然の美しさと、
そこに寄り添う心の静まりが感じられます。
この記事「正岡子規の冬の俳句5選-代表作をわかりやすく解説！」では、子規の冬の俳句を5つ厳選し、初心者の方にもわかりやすく解説しました。
5つの名句を通して、子規が見つめた冬の世界をやさしく味わえます。
クイズの答え：２．時雨にあたると花が崩れやすい儚さ
