釈迢空の名作短歌で、
静けさの中の美しさを感じませんか?
自然の中にある光や風、
水の流れを通して、
人の心の深い部分を詠んだ歌人です。

この記事では、代表的な歌集『水の上』から5つの名作を選び、わかりやすく解説します。

静かな自然の情景と、心に響く言葉の美しさを感じてみてください。
▶前回の記事はこちらから!
前回の記事では、釈迢空の歌集『海やまのあひだ』から、海と山に抱かれた自然の詩情を紹介しました。
あわせて読むことで、釈迢空の“自然へのまなざし”の広がりを感じていただけます。
釈迢空とは?
釈迢空 – Wikipedia(しゃく ちょうくう)は、
明治から昭和にかけて活躍した歌人で、
本名は折口信夫(おりくちしのぶ)です。
また自然や人の心を深く見つめ、
静けさの中にある美しさを詠みました。

『水の上』では、水・風・光などを通して、生と心のゆらぎをやさしく表現しています。
釈迢空の名作短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『明け昏れの 空の暗きに、飛び交ひて 鳴く燕のこゑ あはれなり』


明け昏れの 空の暗きに、飛び交ひて 鳴く燕のこゑ あはれなり
読み方:あけくれの そらのくらきに とびかひて なくつばめのこえ あはれなり
句意:この短歌では、明け暮れの空の暗がりの中を飛び交いながら鳴く燕の声に、もの悲しさと生命の儚さを感じている情景を詠んでいます。

つまりこの短歌は、一日の移ろいの中に生きる燕の声を通して、自然と時間の深い結びつきを描いています。

また「明け昏れ」という言葉が、光と闇、生と死のあわいを象徴し、燕の鳴き声がその境界を行き交う命の響きとして響きます。
静けさの中にある生命の律動と、釈迢空の繊細な感受性があらわれた一首です。
『海の風 秋と吹くらし。 ひたすらに 萱枯れ原の なびくを見れば』


海の風 秋と吹くらし。 ひたすらに 萱枯れ原の なびくを見れば
読み方:うみのかぜ あきとふくらし ひたすらに かやかれはらの なびくをみれば
句意:この短歌では、海から吹く風に秋の気配を感じ、枯れすすきの原が一面に揺れている光景をしみじみと見つめている情景を詠んでいます。

つまりこの短歌は、海から吹く風に季節の変わり目を感じる作者の心を映しています。

また「ひたすらに」という語が、ただ風景に身をゆだねる静かな感情を伝え、萱の枯れ原が揺れる様子に、秋の寂しさと自然の力強さが同居します。
釈迢空らしい、観照と余情に満ちた一首です。
『木立ち深く ふみゆく足の、たまさかは、ふみためて思ふ。 山の深さを』


木立ち深く ふみゆく足の、たまさかは、ふみためて思ふ。 山の深さを
読み方:こだちふかく ふみゆくあしの たまさかは ふみためておもう やまのふかさを
句意:この短歌では、木々の生い茂る山の中を歩く途中、ふと足を止めて、その山の奥深さをしみじみと感じている心情を詠んでいます。

つまりこの短歌は、自然の中に身を置いたときの静かな感動を描いています。

また「ふみためて思ふ」という一瞬の動作に、人と自然が向き合う時間の深さが凝縮されています。
山の奥行きと心の奥行きが重なり合い、釈迢空の内省的なまなざしと、自然への敬意が伝わる一首です。
『はろばろに 浮きて来向ふ 海豚のむれ。委ら細らに 向きをかへたり』


はろばろに 浮きて来向ふ 海豚のむれ。委ら細らに 向きをかへたり
読み方:はろばろに うきてきむかう いるかのむれ つばらつばらに むきをかえたり
句意:この短歌では、はるか沖からこちらへ向かってくるイルカの群れが、しなやかに方向を変えながら泳ぐ様子を穏やかに描いています。

つまりこの短歌は、広大な海と生命の優雅な動きを捉えた一首です。

また「はろばろに」という言葉が、海の広がりと時間のゆるやかさを感じさ「つばらつばらに」はイルカの動きの繊細さを表現しています。
自然の中に生きる生命の自由さと、詠み手の静かな観照が響き合う、釈迢空らしい深いまなざしの詩です。
『山びとの 言ひ行くことの かそけさよ。きその夜、鹿の 峰をわたりし』


山びとの 言ひ行くことの かそけさよ。きその夜、鹿の 峰をわたりし
読み方:やまびとの いいゆくことの かそけさよ きそのよ、しかの みねをわたりし
句意:この短歌では、木曽の山の夜に、山人の言葉がかすかに響き、遠くでは鹿の鳴き声が峰を渡っていく静寂の情景を詠んでいます。

つまりこの短歌は、深山の夜にただよう静けさと、そこに生きる人々の声を繊細に描いています。

また「言ひ行くことのかそけさよ」という一節が、人の存在の儚さと自然の大きさを際立たせ、鹿の声がその静けさをいっそう深めます。
釈迢空の自然観と聴覚的感受性が融合した、静謐で幽玄な一首です。
釈迢空の名作短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:釈迢空(折口信夫)は、どの分野でも活躍した人物でしょう?
- 民俗学・国文学・宗教学
- 音楽・演劇・彫刻
- 天文学・数学・物理学

解答はまとめの最後にあります!
▶釈迢空と時代をともにし、それぞれの感性で秋を詠んだ歌人たちがいます。
斎藤茂吉の写実的なまなざし、北原白秋の色彩豊かな表現――
彼らの秋の短歌も、ぜひあわせてお楽しみください。
釈迢空の名作短歌まとめ
釈迢空の短歌は、
自然の静けさの中に人の心を
映しています。
海や山、水や風といった景色を通して、
生きることのやさしさや寂しさを
感じさせます。

『水の上』の五首は、日常の中にある深い静寂と、ことばの美しさを教えてくれる作品です。
クイズの答え:1.民俗学・国文学・宗教学
※釈迢空は、歌人としてだけでなく、民俗学者・国文学者・宗教学者としても知られています。
古代の信仰や神話を深く研究し、それを短歌の中にも息づかせた人物です。




