与謝野鉄幹の秋の短歌で
秋の訪れを感じてみませんか?
鉄幹の秋の短歌では、
恋心や人生の思いを
自然の景色に重ねて表現しています。

本記事では、与謝野鉄幹の秋を詠んだ代表的な短歌を5つ厳選し、その魅力をわかりやすく解説します。
▶前回の記事はこちらから!
前回は、与謝野鉄幹が詠んだ夏の短歌をご紹介しました。
百合や蓮、月夜などを題材にした情熱的で幻想的な歌を、ぜひこちらからご覧ください。
与謝野鉄幹とは?
文芸雑誌『明星』を創刊
与謝野鉄幹 – Wikipedia(よさの てっかん)は、
1900年に文芸雑誌『明星』を創刊し、
そして北原白秋や石川啄木らを世に送り出しました。
また与謝野晶子の才能を早くから見いだし、
『みだれ髪』出版を支援。

私生活では波紋もありましたが、晶子と再婚後は、家庭と文学の両面でロマン主義の中心を担いました。
🪶 啄木や白秋の短歌も、あわせて楽しんでみませんか?
『明星』からは、石川啄木や北原白秋といった多くの才能が羽ばたきました。また彼らの作品にも、鉄幹とは異なる静けさや繊細な風情が息づいています。それぞれの短歌の魅力を、以下の記事でやさしく解説しています。
秋の短歌に見る魅力
与謝野鉄幹は、
明治から昭和にかけて活躍した歌人であり、
与謝野晶子の夫としても知られています。
鉄幹の短歌は情熱的で力強く、
人の心を揺さぶる表現が大きな特徴です。

秋を題材にした作品では、紅葉や芙蓉、白菊、秋風などを通じて、喜びや哀しみ、人の心の揺れを鮮やかに描いています。

また鉄幹の秋の短歌は、自然の美しさと人の感情がひとつになり、読む人に強い余韻を残す魅力があります。
与謝野鉄幹の秋の短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『秋かぜに ふさはしき名を まゐらせむ そぞろ心の 乱れ髪の君』


秋かぜに ふさはしき名を まゐらせむ そぞろ心の 乱れ髪の君
読み方:あきかぜに ふさわしきなを まいらせん そぞろごころの みだれがみのきみ
句意:この短歌では、秋風にふさわしい名を与えたいほど、心を乱す「乱れ髪の君」への想いを詠んでいます。

つまりこの短歌は、恋のときめきと秋風のイメージを重ねています。

また「乱れ髪の君」という表現が、女性の美しさと同時に作者の心の乱れを映すのがポイントです。
秋風を恋の感情に結びつけ、季節感と恋心の高揚を融合させた一首であり、鉄幹らしいロマンチックな感性が際立っています。
『もみぢ葉を 誰の血潮と いひさして 古井の水を うかがひし人』


もみぢ葉を 誰の血潮と いひさして 古井の水を うかがひし人
読み方:もみじばを たれのちしおと いいさして ふるいのみずを うかがいしひと
句意:この短歌では、紅葉を誰かの血潮だと言いさし、古井戸の水をのぞき込んだ人の姿を、不思議さと哀感をもって詠んでいます。

つまりこの短歌は、紅葉を血潮にたとえる鮮烈な比喩が印象的です。

また「古井の水をうかがひし人」という描写が、幻想的でありながら人間の不安や哀しみを暗示するのがポイントです。
紅葉の美しさに人の情念を重ね、自然と心の深い交錯を鮮烈に描き出した一首で、鉄幹らしい情熱と象徴性が表れています。
『われひそかに 栄ある花と たのみしも 芙蓉はもろし 水にくだけぬ』


われひそかに 栄ある花と たのみしも 芙蓉はもろし 水にくだけぬ
読み方:われひそかに さかえあるはなと たのみしも ふようはもろし みずにくだけぬ
句意:この短歌では、自分が栄える花と頼みにしていた芙蓉が、実はもろく水に砕けてしまったことを詠んでいます。

つまりこの短歌は、芙蓉の花の儚さを通して、期待や信頼が崩れる心情を映しています。

また「栄ある花とたのみしも」という言葉が、強い願望と失望の落差を際立たせるのがポイントです
水に砕ける芙蓉の姿は、人の希望のもろさや人生の無常を象徴し、鉄幹らしい情熱と哀感が響く一首となっています。
🌿 与謝野晶子の秋も、あわせてどうぞ。
与謝野鉄幹と同じく、与謝野晶子も秋を鮮やかに詠みました。
恋の情熱や人生の想いを自然に重ねた短歌には、独自の感性と強さがあります。
『琴のあたり しら菊ひと枝 いけて見れば わびしくもあらず わが四畳半』


琴のあたり しら菊ひと枝 いけて見れば わびしくもあらず わが四畳半
読み方:ことのあたり しらぎくひとえ いけてみれば わびしくもあらず わがよじょうはん
句意:この短歌では、琴のそばに白菊を一枝いけてみると、四畳半の部屋がわびしくなく、むしろ豊かに感じられると詠んでいます。

つまりこの短歌は、日常の空間を美で満たす感覚を表しています。

また「しら菊ひと枝」というささやかな飾りが、琴と調和して部屋の雰囲気を変え、質素な四畳半が豊かな趣を持つのがポイントです。
わびしさを超えて、美が生活を彩る力を伝え、芸術と暮らしの調和を感じさせる鉄幹らしい一首となっています。
『同宿に 窪田通治の 歌をめでて 泣く人みたり 浪速江の秋』


同宿に 窪田通治の 歌をめでて 泣く人みたり 浪速江の秋
読み方:どうしゅくに くぼたみちはるの うたをめでて なくひとみたり なにわえのあき
句意:この短歌では、宿を共にする人が窪田通治の歌を賞賛し、涙を流す姿を見た秋の浪速の情景を詠んでいます。
※窪田通治(窪田空穂)-Wikipediaは1877年長野県生まれの歌人・国文学者。与謝野鉄幹の「明星」に参加後、自然主義の影響を受け内省的な歌を詠みました。また早稲田大学教授を務め、日本芸術院会員、文化功労者にも選ばれました。

つまりこの短歌は、歌を介して人が心動かされる瞬間を描いています。

また「泣く人みたり」という素直な記録が、歌の力が人の感情を深く揺さぶる様子を鮮やかに示すのがポイントです。
浪速江の秋という舞台が、情景にしみじみとした余情を添え、芸術と人の心の響き合いを象徴する一首となっています。
与謝野鉄幹の秋の短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:与謝野鉄幹の本名はどれでしょう?
- 与謝野寛(ひろし)
- 与謝野剛(つよし)
- 与謝野隆(たかし)

解答はまとめの最後にあります!
与謝野鉄幹の秋の短歌5選まとめ
与謝野鉄幹の秋の短歌は、
恋心や人生の思いを
自然に重ねて詠むことが特徴です。
紅葉や芙蓉、白菊や秋風などの情景を通して、
人の心の揺れや情熱を鮮やかに表現しました。

「与謝野鉄幹の秋の短歌5選-代表作をわかりやすく解説!」では、初心者の方にも楽しんでいただける内容で、短歌の魅力や奥深さに触れることができます。

秋を彩る鉄幹の歌を通じて、自然と心の深いつながりを感じてみませんか。
クイズの答え:1.与謝野寛(ひろし)