与謝野鉄幹の夏の短歌で
夏の訪れを感じてみませんか?
与謝野鉄幹は、明治から
昭和初期にかけて活躍した歌人で、
情熱的な恋や祖国への思いを
美しい言葉で表現しました。

本記事では、与謝野鉄幹の夏を詠んだ代表的な短歌を5つ厳選し、その魅力をわかりやすく解説します。
与謝野鉄幹とは?
文芸雑誌『明星』を創刊
与謝野鉄幹 – Wikipedia(よさの てっかん)は、
1900年に文芸雑誌『明星』を創刊し、
そして北原白秋や石川啄木らを世に送り出しました。
また与謝野晶子の才能を早くから見いだし、
『みだれ髪』出版を支援。

私生活では波紋もありましたが、晶子と再婚後は、家庭と文学の両面でロマン主義の中心を担いました。
🪶 啄木や白秋の短歌も、あわせて楽しんでみませんか?
『明星』からは、石川啄木や北原白秋といった多くの才能が羽ばたきました。また彼らの作品にも、鉄幹とは異なる静けさや繊細な風情が息づいています。それぞれの短歌の魅力を、以下の記事でやさしく解説しています。
夏の短歌に見る魅力
与謝野鉄幹は、明治時代を代表する歌人で、
情熱的で力強い短歌を多く残しました。
夏を詠んだ作品では、
自然の光や色、人の感情を豊かに描き出し、
読む人に強く印象を残します。

そして百合や星などのモチーフを通して、夢のような風景と深い思いが響いてくるのが特徴です。
与謝野鉄幹の夏の短歌5選

「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね!
『いだかれて 見たる御国の 名は秘めむ 星紅かりき 百合白かりき』


いだかれて 見たる御国の 名は秘めむ 星紅かりき 百合白かりき
読み方:いだかれて みたるみくにの なはひめむ せいこうかりき ゆりしろかりき
句意:この短歌では、優しく包まれて見た理想の国、その名は秘めよう。そこには紅い星と白い百合が美しく輝いていたと詠んでいます。

「いだかれて見たる御国」では、理想郷や愛に満ちた国を象徴しており、その名は秘されるべき神聖な場所とされています。

また「星紅かりき 百合白かりき」は、そこでの光景が鮮やかな対比で心に刻まれたことが表現されています。
色彩の美しさと神秘性が交錯する、鉄幹ならではの叙情詩です。
『蓮しろき おばしま近く 師にはべり うすき月夜を 歌乞ひまつる』


蓮しろき おばしま近く 師にはべり うすき月夜を 歌乞ひまつる
読み方:はすしろき おばしまちかく しにはべり うすきつきよを うたこいまつる
句意:この短歌では、白い蓮の咲く欄干のそばで、薄月夜に師へ歌を願い仕える心を詠んでいます。

白い蓮が咲く欄干のそば、弟子である鉄幹が、師のそばに仕えていた頃の情景を詠んだ一首です。

また淡い月の夜に、自然の美しさと共に歌を乞い願う姿が、弟子としての謙虚な心と憧れをにじませています。
静かな尊敬の念と、詩への情熱が感じられる作品です。
『笛吹くに 吹くにいつしか 百合多き この国さては 海いくつ越えし』


笛吹くに 吹くにいつしか 百合多き この国さては 海いくつ越えし
読み方:ふえふくに ふくにいつしか ゆりおおき このくにさては うみいくつこえし
句意:この短歌では、笛を吹いているうちに、知らぬ間に百合の咲く国へ。いつしか多くの海を越えていたと詠んでいます。

笛を吹いているうちに、ふと気づけば、百合の花が咲き乱れる美しい国にたどり着いていた——という幻想的な構成が魅力の一首です。

また「海いくつ越えし」と結ぶことで、旅路や時空を越えた移動の詩的イメージが広がります。
笛の音が導くように、無意識のうちにたどり着いた理想郷への憧れが、美しく表現されています。
🌿 与謝野晶子の夏も、あわせてどうぞ。
この歌に通じる、豊かな感性と色彩に満ちた夏の短歌。
与謝野晶子が描く夏の世界を、代表作とともにじっくり味わってみませんか?
『まどかなる 光明負ひます まぼろしや 牡丹ゆすれて 闇白うなりぬ』


まどかなる 光明負ひます まぼろしや 牡丹ゆすれて 闇白うなりぬ
読み方:まどかなる こうみょうおいます まぼろしや ぼたんゆすれて やみしろうなりぬ
句意:この短歌では、光を帯びた幻影が現れ、牡丹の花がゆれ、闇が次第に白くなってゆく幻想的な夜の情景を詠んでいます。

この短歌は、幻想と現実の交錯を詩的に描いた一首です。

「まどかなる光明負ひますまぼろしや」では、丸く柔らかな光をまとった幻影のような存在を表現し、「牡丹ゆすれて」で現実の動きが加わります。
ラストの「闇白うなりぬ」によって、夜の闇さえ光を帯びて白くなったという逆説的な美しさが印象を残します。
『人ふたり ましろきつばさ 生ふと見し 百合の園生の 夢なつかしき』


人ふたり ましろきつばさ 生ふと見し 百合の園生の 夢なつかしき
読み方:ひとふたり ましろきつばさ おうとみし ゆりのそのうの ゆめなつかしき
句意:この短歌では、かつての二人が、ま白なつばさを生やす幻を見た、百合の園のようなあの夢が今もなつかしいと詠んでいます。

この短歌は、純粋で崇高な愛の記憶を幻想的に描いています。

また「ましろきつばさ」は清らかな象徴としての天使的存在を思わせます。そして「百合の園生」は理想郷、あるいは記憶の中の楽園です。
「夢なつかしき」によって、その時間が既に過去の幻影でありながらも強く心に残っていることが伝わります。
与謝野鉄幹の夏の短歌ちょっとむずかしいクイズ
クイズ:与謝野鉄幹が深く関わった文学運動とは?
- ロマン主義
- 写実主義
- 無頼派

解答はまとめの最後にあります!
与謝野鉄幹の夏の短歌5選まとめ
与謝野鉄幹は、情熱と美しさを込めて
夏の自然や心の動きを短歌に表しました。
今回ご紹介する5首は、白い百合や蓮、
夕暮れの風景などが登場し、
夏の風や光をやさしく映しています。

「与謝野鉄幹の夏の短歌5選-代表作をわかりやすく解説!」では、初心者の方にも楽しんでいただける内容で、短歌の魅力や奥深さに触れることができます。

鉄幹の歌を通して、暑い季節の中にもある静けさや夢のような時間を感じてみてください。
クイズの答え:1.ロマン主義
※情熱的で感情を重視するロマン主義の代表的歌人とされ、多くの若者に影響を与えました。