志太野坡の夏の俳句で
やわらかな風とともに、日常に寄り添う言葉で
夏を描いた俳句を味わってみませんか？
志太野坡の俳句は、
日常の風景にそっと寄り添いながら、
夏の光や音をやさしく映します。
本記事では、初心者でも楽しめる志太野坡の夏の俳句を5つ厳選してわかりやすく解説します。
▶春の風に乗せて、軽やかなことばで日常をそっとすくい上げた志太野坡の句。
また“かるみ”が光る春の作品を、別の記事で詳しくご紹介しています。
心ほどける春の情景にふれてみませんか？
志太野坡の人物像を解説
芭蕉十哲-志太野坡とは？
志太野坡 – Wikipedia（しだ やば）は、
「蕉門十哲 – Wikipedia」（しょうもんじってつ）の中でも
宝井其角の門下として「かるみ」を体現した俳人です。
また洒脱さと素朴さをあわせ持ち、
そして都会的な感覚と日常の機微を軽やかに詠む作風が特徴。
また芭蕉や其角からの影響を受けつつも、独自の俳諧美を築いた存在といえるでしょう。
▶宝井其角の洒脱な作風に影響を受けた志太野坡。
その俳諧の源をたどるなら、師匠・其角の夏の句もあわせて味わいたいところです。
夏を詠んだ志太野坡とは？
志太野坡は、
日常の中にある静かな詩情を
大切に詠んだ俳人です。
とくに夏の句では、
涼しさやさびしさ、光のうつろいを
やわらかなまなざしでとらえ、
「かるみ」の感覚を活かした表現が魅力です。
そしてさりげない情景に、心の深い余韻がにじみます。
志太野坡の夏の俳句5選
「意味」はわたぼうしの意訳なので、解釈の仕方は参考程度に読んでね！
『夕立や ふりそこなひて 雲のみね』
夕立や ふりそこなひて 雲のみね
読み方：ゆうだちや ふりそこないて くものみね
季語：夕立（ゆうだち）
句意：この俳句では、今にも降りそうだった夕立がついに降らず、空には雲の峰だけが残っていると詠んでいます。
降りそうで降らなかった夕立を、「ふりそこなひて」という表現でややユーモラスかつ余韻ある形で描写しています。
また雲の峰が残る空模様に、期待が外れたような寂しさと、どこかほっとした感覚が交差します。
志太野坡の句らしく、自然現象を観察する鋭さと、そして日常の感情をやさしくすくい上げるまなざしが込められた一句です。
『うぐひすの 声を帆にせよ 梅の雨』
うぐひすの 声を帆にせよ 梅の雨
読み方：うぐいすの こえをほにせよ うめのあめ
季語：梅の雨（つゆ）＝梅雨
句意：この俳句では、梅雨の雨に包まれる中、鶯の声を帆にして進んでゆけと呼びかけると詠んでいます。
雨の季節、鶯の声を帆にして進んでゆけ――まるで旅人や人生への呼びかけのような一句です。
また「帆にせよ」という表現が詩的で、音を風に見立てる豊かな感性が光ります。
静かな梅雨の雨音と、澄んだ鶯の声が重なる風景は、写実と想像が交錯する美しい情景です。そして志太野坡の自在な発想と自然への深いまなざしが感じられる作品です。
『夕すずみ あぶなき石に のぼりけり』
夕すずみ あぶなき石に のぼりけり
読み方：ゆうすずみ あぶなきいしに のぼりけり
季語：夕すずみ（ゆうすずみ）
句意：この俳句では、涼を求めて、やや危なげな石にのぼったと詠んでいます。
暑さの残る夕暮れ、涼を求めて石にのぼる――その行動に、夏らしい開放感とちょっとした無邪気さが漂います。
また「あぶなき石」という表現に、日常の中の緊張感や動きのある情景が生まれ、静かな句にさりげない躍動が加わります。
志太野坡らしい、写実と人間らしい感情の交錯が込められた一句です。そして風景と心の動きがやわらかく結びついた表現が魅力となっています。
『ある人は ありて淋しし かんこ鳥』
ある人は ありて淋しし かんこ鳥
読み方：あるひとは ありてさびしし かんこどり
季語：花
句意：この俳句では、いるはずの人がいるのに、かえって寂しさを強く感じる――心の虚ろさを閑古鳥の声が映し出す様子を描いています。
つまり「いること」が「いないこと」以上に寂しい――そんな逆説的な感情が詠まれた一句です。
また「かんこ鳥」が鳴く静けさと心の孤独感が重なり、人間関係の中に潜む空虚さを鮮やかに浮かび上がらせます。
志太野坡らしい、写実にとどまらず感情の機微を詩に託すまなざしが印象的で、そして読む人の心にも静かに沁みる一首となっています。
『くれなゐの 暮のすがたや 合歓の花』
くれなゐの 暮のすがたや 合歓の花
読み方：くれないの くれのすがたや ねむのはな
季語：合歓の花（ねむのはな）
句意：この俳句では、夕暮れの紅を帯びた空に、合歓の花の姿が溶け込んでいると詠んでいます。
夕暮れに染まる空の色「くれなゐ」と、合歓の花の淡紅が重なる美しい時間が詠まれています。
また「暮のすがたや」と詠嘆をこめた中七が、目の前の景と心の動きを一体にし、余韻ある印象を残します。
花の静けさと日の終わりのさみしさが溶け合う構図は、志太野坡らしい情緒と観察の鋭さが光る一句です。
志太野坡の俳句ちょっとむずかしいクイズ
クイズ：志太野坡の句「夕立や ふりそこなひて 雲のみね」で表現されている情景として、最もふさわしい解釈はどれでしょう？
- 雨が激しく降る様子を描いた句
- 雨が降りそうで降らなかった、空の様子を詠んだ句
- 夏の晴天のもとで雲が高くのぼる様子
志太野坡の夏の俳句5選まとめ
志太野坡の夏の俳句は、
日常のひとときをやさしく
すくい上げるような表現が魅力です。
また夕立や風の音、雨にぬれる草木など、
季節の一場面に心を重ねた詩情が広がります。
この記事「志太野坡の夏の俳句5選-代表作をわかりやすく解説！」では、野坡の夏の俳句を5つ厳選し、初心者の方にもわかりやすく解説しました。
気負わずに夏を味わう感覚が込められた野坡の俳句を、ぜひじっくり味わってみてください。
クイズの答え：２．雨が降りそうで降らなかった、空の様子を詠んだ句
